公開日:2024/5/28
株式会社設立にかかる期間はどのくらい?手続きのスケジュールについても解説!


StarMember公認会計士・税理士事務所
代表 山田俊輔(公認会計士・税理士・経営心理士)
あずさ監査法人にて、東証一部上場企業の会計監査、上場準備会社の監査、会社買収時のデューデリジェンス業務等を担当。
2010年に独立開業し、Star Member (スタメン)公認会計士・税理士事務所と株式会社日本会計サービスを立ち上げ、連結売上1,000億円超の社外取締役や売上数百億円~数億円の会社の取締役、監査役などを務める。2017年には野村證券なんば支店アドバイザリーボードメンバーにも選任。
「自分の会社を作ろう」と決心すると、1日でも早く会社設立を行いたくなるものです。
株式会社の設立には、通常で1か月弱、早くても1週間から2週間ほど必要になります。
少しでも早く、スムーズに会社設立手続きを終わらせるためには、手続きの内容を理解し、効率的に動いていかなければなりません。
ここでは「株式会社の設立に必要な手続きのスケジュール」について詳しく解説します。
株式会社設立を検討されている方は、ぜひ最後までお付き合いください。
株式会社設立にかかる期間について
株式会社の設立に必要な主な手続きは「定款作成」「定款認証」「会社設立申請」の3つです。
これらの手続きには最短で3日、一般的には1週間ほど必要になります。
申請後、法務局で審査が行われ、会社設立登記が完了するまでに3日かかります。
手続き開始から登記申請完了まで合わせると、早くても1週間から2週間ほど必要です。
以前までは、申請から会社設立登記完了までに1週間ほどかかりましたが、平成30年に開始された「会社の設立登記のファストトラック化」により、登記完了までの期間が短縮されています。
1-1.合同会社の設立は株式会社よりも簡単で早い
合同会社を設立する場合は、公証役場で行う定款認証が必要ありません。
定款認証には、公証役場の予約が必要になり、希望の日程で定款認証ができないこともあります。
合同会社の場合は、この定款認証の手続きがスキップできるため、株式会社よりも簡単で迅速に会社設立手続きを行うことが可能です。
株式会社設立のスケジュールと期間の目安
株式会社を設立する際には、上記の5つのステップにより行います。
2-1.STEP①設立前の事前準備
設立前の事前準備は4つのパートに分けて行います。
2-1-1.基本事項を決める
株式会社を設立する前に会社の基本事項を決めておかなければなりません。
この基本事項は、会社を設立するうえで必ず必要になります。
「どこまで詳細に決めることができるか」によって、その後のスケジュールに影響を与えることになりますので、基本事項はしっかりと決めておきましょう。
<事前準備で決める会社の基本事項>
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2-1-2.代表者印の発注
会社の名前(商号)が決定したら、会社の「代表者印の発注」を行いましょう。
代表者印は、契約や取引を行う際に必要になる大切な印鑑であり、会社設立申請時にも必要になります。
発注してから届くまで時間がかかりますので、早めに発注を行いましょう。
なお、会社設立後に銀行口座を開設する場合には、別途「銀行印」が必要になります。
2度手間にならないよう代表者印と同時に銀行印も発注しておくといいでしょう。
2-1-3.印鑑登録証明書の準備
定款作成の手続きに「発起人全員分の印鑑登録証明書(各2通)」が必要になりますので、準備の段階で用意しておくことをおすすめします。
印鑑登録証明書の有効期限は3か月ですので、期限切れに注意しましょう。
2-1-4.公証役場の予約
STEP③の定款認証は「公証役場」で行います。
事前予約なしでも定款認証を受け付けている公証役場もありますが、待ち時間が長くなるケースも多いため、事前に予約しておくとスムーズに進みます。
事前準備の段階で定款認証希望日時の予約をしておきましょう。公証役場によってはメールにて予約できる場合もあります。
なお、定款認証は「発起人全員が公証役場へ出向くこと」が原則になっています。公証役場に来られない発起人がいる場合には「委任状」が必要になりますので、準備しておきましょう。
2-2.STEP②定款作成
定款は、会社のルールを記載したルールブックです。
基本的にはSTEP①で決めた会社の基本事項を記載することになります。
定款の作成方法には、「自分で定款を作成する方法」「公証役場で相談して作成する方法」「司法書士や行政書士へ依頼する方法」があります。
自分で定款を作成する場合は、日本公証人連合会のホームページに定款等記載例がありますので、それを参考に作成するといいでしょう。
ご自身で作成することになりますので、記載間違いや記載もれが発生することもあります。
間違いがあった場合には、かえって時間がかかってしまうケースもありますので、作成に自信がない場合は専門家に相談されることをお勧めします。
日本公証人連合会「定款等記載例」
https://www.koshonin.gr.jp/format
公証役場では、定款の事前打ち合わせ、確認をしてもらうことができます。
あくまでも定款に関する相談になるため、事業に関する詳しい内容について相談することはできません。
確実に定款の作成を行う方法として「司法書士、行政書士に相談する方法」があります。
行政書士には「定款作成のみ」を依頼でき、司法書士には定款作成と次のステップである定款認証の代理についても依頼することができます。
2-3.STEP③定款認証、資本金の払い込み
定款作成が完了したら、公証役場での定款認証、金融機関での資本金の払い込みを行います。
2-3-1.定款認証の準備と定款認証の実施
公証役場へ出向く前に定款認証を行うための準備を行いましょう。
作成した定款を公証役場へメールまたはFAXし、事前チェックをしてもらいます。
公証役場の混み具合によっては、事前チャックに時間がかかってしまう場合もありますので、なるべく早めにチェックしてもらうようにしましょう。
続いて、定款認証に必要になる書類の準備を行います。定款認証には、次の書類等の提出と費用が必要になります。
<定款認証に必要になるもの>
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2018年11月より、マネーロンダリングなどの防止策として「実質的支配者となるべき者の申告書」の提出が義務付けられています。
難しい書類ではありませんので、日本公証人連合会のホームページよりダウンロードして記載しましょう。
https://www.koshonin.gr.jp/notary/ow09_4#newteikan
定款認証収入印紙4万円分については、紙の定款である場合に必要です。
電子定款により認証手続きをした場合には必要ありませんが、電子認証キットなどのシステム導入費用が必要になります。
定款の認証手数料について、以前は一律5万円でしたが、2022年1月より、資本金の金額に応じて3万円~5万円に変更になっています。
<定款認証の手数料>
資本金の額等が100万円未満の場合「3万円」 資本金の額等が100万円以上300万円未満の場合「4万円」 その他の場合「5万円」 |
これらの書類、手数料を用意し、予約した日時に公証役場へ出向くことで定款認証を行うことができます。
なお、電子定款に限られますが、2020年より公証役場に出向かなくとも定款認証がテレビ電話でできる「テレビ電話による認証制度」が開始されています。
2-3-2.資本金の払い込み
定款認証完了後、発起人(代表者)の口座に資本金の払い込みを行います。
払い込む金額は定款に記載した金額です。
資本金の払い込みは誰が入金したのかが明確に分かるように、必ず「振り込み」で入金を行いましょう。
ATMでは紙幣200枚が限度額になっていますので、200万円以上の資本金の払い込みがある場合には、銀行窓口で行いましょう。
資本金の払い込みが完了したら、「払い込み証明書」の作成を行います。
払い込み証明書は、次のような内容の書面を作成し、通帳の表紙(銀行名と口座名義人が記載されているページ)と払い込みによる入金が記載されているページの添付が必要になります。
2-4.STEP④登記申請
会社設立登記は、「会社の本店所在地を管轄する法務局」で行います。
登記申請日が会社設立日になり、登記申請を行うことで会社が成立したことになります。
2-4-1.登記申請の準備
登記申請には、次の書類が必要になりますので、事前に準備しましょう。
<会社設立登記に必要な書類>
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書類の様式、記載例については法務局のホームページよりダウンロードできます。
- 取締役会を設置する会社の場合
様式
https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/content/001249314.pdf
記載例
https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/content/001331097.pdf
- 取締役会を設置しない会社の場合
様式
https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/content/001249317.pdf
記載例
https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/content/001331002.pdf
- 印鑑(改印)届書の様式
https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/content/001188212.pdf
2-4-2.法務局での登記申請
書類の準備ができたら、管轄の法務局で登記申請を行います。
ご自身で登記申請を行う場合、代表取締役が出向く必要があり、準備した書類に加え、登録免許税の印紙15万円分と身分証明書が必要になります。
印紙は法務局で購入することができます。
登録完了予定日は、各法務局のホームページで確認することが可能です。
2-5.会社設立後の手続き
会社設立後には、主に次の4つの手続きが必要になります。
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2-5-1.印鑑登録証明書の取得
印鑑カード交付申請書と会社の代表者印を法務局へ提出することで「印鑑カード」が交付されます。
代表者印と印鑑登録証明書のセットは、重要な取引を行う際に必要になりますので、必ず取得しておきましょう。
2-5-2.銀行口座の開設
会社名義の銀行口座の開設を行います。
開設はすぐにできるわけではなく、審査を経てからの口座開設になります。
2-5-3.各所への設立届出書などの提出
税務署、都道府県、市町村のそれぞれに設立届出書を提出します。
税務署には、会社の状況に応じて「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」「消費税の各種届出書」の提出が必要になります。
2-5-4.労働基準監督署、ハローワークへの届出
従業員を雇用する場合は労働基準監督署、ハローワークへ届出を行います。
従業員を雇用しない場合は必要ありません。
会社設立のスケジュール例
会社設立にかかる期間は準備次第で短縮することもできますが、3週間ほどかけて行うことが一般的です。
スケジュール例を見ていきましょう。
1週目 |
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2週目 |
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3週目 |
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3週目以降
(できるだけ早急に) |
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株式会社設立は最短1日で行える?
株式会社設立は、万全の準備を行っていたとしても1日で手続きを終えることはできません。
公証役場での定款認証手続きがあるため、少なくとも会社設立登記申請を行うまで3日必要になります。
会社設立登記申請を行ってから登記完了までは、管轄の法務局の進み具合によります。
最短でも3日は必要になり、土日を挟んでしまいますので定款作成から登記完了までは最短でも8日かかります。
なお、株式会社ではなく「合同会社」であれば、公証役場の定款認証が必要なく、省略することができます。
そのため、会社設立登記申請まで最短2日で行うことも可能です。
会社設立を急いで行いたい方もいらっしゃると思いますが、会社設立は今後の事業、法律、税務に関わる大事な手続きです。
時間をかけて慎重に準備を行うことをお勧めします。
「急いで会社設立を行いたいけど、失敗はしたくない」という方は、専門家への依頼が確実です。
Star Member (スタメン) 公認会計士・税理士事務所では、会社設立に関するご相談、会社設立代行を他の専門家とも連携してワンストップで承っています。
ご自身で会社設立を行うよりも少ない費用でご依頼していただけますので、ぜひ一度ご相談ください。
まとめ
株式会社の設立に関する手続きは「準備が重要」です。
基本事項の決定や書類の準備を万全にしておくことでスムーズに手続きを行うことはできます。
これらの事項を慌てて準備してしまうと、記載もれや設立後のトラブルが生じてしまうおそれがありますので、慎重に行いましょう。
Star Member (スタメン) 公認会計士・税理士事務所は、会社設立の応援団です。
会社設立に関するご相談は無料にて承っております。会社設立でお悩みの際は、お気軽にご相談ください。