会社設立

更新日:2024.08.1

公開日:2024/7/26

会社設立時にクラウド会計は導入すべき?導入するメリット・デメリットを解説!

この記事の監修
山田俊輔

StarMember公認会計士・税理士事務所
代表 山田俊輔(公認会計士・税理士・経営心理士)

あずさ監査法人にて、東証一部上場企業の会計監査、上場準備会社の監査、会社買収時のデューデリジェンス業務等を担当。
2010年に独立開業し、Star Member (スタメン)公認会計士・税理士事務所と株式会社日本会計サービスを立ち上げ、連結売上1,000億円超の社外取締役や売上数百億円~数億円の会社の取締役、監査役などを務める。2017年には野村證券なんば支店アドバイザリーボードメンバーにも選任。

会社設立をする際には「会計ソフトを何にするか」を検討しなければなりません。

経理会計業務は業種に関係なく、必ず行わなければならない業務です。日々の売上や経費を入力する「記帳業務」をいかに効率化・DX化するかは、今後の会社運営に大きく関わってきます。

 

記帳業務を効率化・DX化できる会計ソフトには「自動仕訳機能」があり、インターネットが繋がっている環境であればどこからでも作業ができる「クラウド会計」があります。

「クラウドって何か難しそう」という方もいるかもしれませんが、一度慣れてしまうと簡単に操作することが可能です。

ここでは「会社設立時にクラウド会計を導入すべきかどうか」について詳しく解説します。

会計ソフトでお悩みの方は、ぜひ最後までお付き合いください。

クラウド会計とは?

会計ソフトには大きく分けて「PCにインストールする会計ソフト(インストール型)」と「クラウド型の会計ソフト(クラウド型)」があります。

インストール型は、一度インストールしてしまえば月額料金なしで利用でき、インターネットがないオフライン状況でも利用することができます。

ただし、インストールした端末でしか利用することができません。

 

一方、クラウド型は、クラウド上で利用できる会計ソフトのことでオンライン環境であれば場所や端末に関わらず利用することができます。

オンラインだからこそ可能な利便性の高い機能がついており、業務の効率化が行えることが特徴です。

ただし、月額料金が発生するため、長い目で見るとインストール型よりも費用がかかってしまいます。

 

インストール型とクラウド型を比較すると次のとおりです。

【インストール型とクラウド型を比較】

  インストール型 クラウド型
ソフトのインストール 必要 不要
オンライン環境 不要 必要
月額料金 不要 必要
使用できる端末 ソフトをインストールしたPC 問わない(PC以外にもタブレットやスマホでも利用できる)
バージョンアップ その都度行う 自動で行われる
記帳業務 手動で入力 自動仕訳が利用できる
PCの容量 使用容量が多い クラウド上に保存されるため、ほとんど容量を使用しない

 

会社設立時にクラウド会計は導入すべきか?

会社設立時にクラウド会計を導入すべきかどうかは、会社の業種や労働環境、顧問税理士の状況によって異なります。

2-1.クラウド会計を導入すべき会社

クラウド会計を導入すべき会社は「リモートワークを検討している会社」「拠点が複数ある会社」「会計業務効率化を行いたい会社」です。

リモートワークを検討している会社

クラウド会計はインターネットさえあれば、端末に関わらず業務を行うことができるため、リモートワークに最適です。

複数の経理担当者がいる場合であっても、リモートで連携して業務を行うことができます。

拠点が複数ある会社

クラウド会計はクラウド上にデータが保管されており、複数の拠点があってもデータを共有することができます。

会計業務効率化を行いたい会社

クラウド会計には、請求書やインターネットバンキング・クレジットカードの履歴から仕訳を自動作成する機能や他のサービスと連動して仕訳を作成する機能など、会計業務を効率化・DX化できる機能が豊富に導入されています。

2-2.クラウド会計を導入しない方がいい会社

すべての会社がクラウド会計に適しているわけではありません。

次のような会社の場合は、インストール型の会計ソフトを導入したほうがいいでしょう。

インターネットが安定していない会社

クラウド会計はインターネット環境がなければ会計処理を行うことができません。

長期的な費用を抑えたい会社

買い切りのインストール型と違い、クラウド会計は月額料金が発生します。

利用できる機能によって月額料金は異なりますが、長期的に見るとインストール型よりも多くの費用がかかってしまいます。

2-3.会計事務所によってはクラウド会計に対応していないことも

多くの会計事務所では、インストール型の会計ソフトを導入しており、システム使用料を支払っています。

そのため会計事務所の中には、クライアントに対して会計事務所が利用しているインストール型のソフトを推奨し、クラウド会計には対応していない事務所もあります。

会計事務所に記帳業務の一部を依頼する場合には、クラウド会計が利用できるかどうか確認のうえ、導入を検討しましょう。

 

Star Member(スタメン)公認会計士・税理士事務所では、freeeMoney Forwardなどの各種クラウド会計ソフトに対応しています。

経理事務の効率化・DX化に強く、初期導入についてもサポートさせていただきますので、安心して最新の会計ソフトをご利用いただけます。

クラウド会計を導入するメリット

クラウド会計は、インストール型の会計ソフトに比べて、次のようなメリットがあります。

3-1.場所を選ばず会計業務ができる

クラウド会計は場所と端末を選びません。

インターネットに接続している環境であれば自宅でも出張先でも会計業務を行うことができます。

パソコンだけでなく、タブレットやスマホからでもデータにアクセスすることが可能です。

 

Wi-Fi環境がない場所であっても、スマホのテザリング機能を使うことでPCをインターネット接続することができますので、どこでも会計業務を行えます。

3-2.データを共有することができる

クラウド会計のデータは、インターネット上のデータの保存場所である「クラウド」に保存されます。クラウド上のデータは、会計担当者だけでなく、経営者や顧問税理士などと共有することができ、データをメールなどで個別にやり取りする必要がありません。

 

また、クラウド上に保存されているデータは、物理的に紛失することがないため、安心して利用できます。

3-3.他のシステムと連携ができる

主要なクラウド会計システムは、給与システムや請求書システム、営業支援・顧客管理・販売管理システムなどと連携することができ、連携設定を行うことで自動的に会計ソフトに反映されます。

そのため「業務の効率化」とシステム間のデータが統一されることにより「会計データの正確性」が高まります。

3-4.自動仕訳ができる

事業で使用している銀行口座やクレジットカードの明細データなどをクラウド会計と連携させることでデータを自動で取得し、取引内容に適した仕訳が自動で作成されます。

クラウド会計ソフトの中には、学習機能があるAIが活用されており、自動仕訳を使えば使うほど仕訳の制度がアップしていくものもあります。

 

自動仕訳機能を利用することで、記帳にかかる時間を大幅に軽減することができ、業務効率化が実現できます。

3-5.複数人で同時に作業が可能

インストール型の会計ソフトは、ソフトをインストールしたPCだけでしか記帳業務を行うことができませんが、クラウド会計はIDとパスワードを共有することで、複数のPCから会計データにアクセスすることができ、同時に作業することが可能です。

経理担当者が入力した記帳データを顧問税理士が修正するといった利用方法もできます。

3-6.簿記の知識がなくても使いやすい

基本的に会計業務には「簿記の知識」が必須になります。仕訳や試算表・決算書の仕組みを理解しておかなければ正しい会計処理を行うことができません。

クラウド会計は、簿記や会計の知識、経験が少ない人向けに設計されている場合が多く、何をどこに入力すればいいのかがわかりやすく表示されています。

入力に関するサポートも充実しているため、知識や経験が少ない方であっても使いやすいと言えるでしょう。

3-7.法改正に迅速に対応できる

インストール型の会計ソフトは、法改正が行われた後に改正内容に対応したバージョンにアップデート、または最新バージョンを再インストールしなければなりません。

一方、クラウド会計は常に法改正を反映した状態になっており、法改正があった場合でも迅速に対応できます。

クラウド会計を導入するデメリット

4-1.インターネット環境が必須

インターネットがあればどこからでも、様々な端末で利用できることがメリットであるクラウド会計ですが、反対にインターネット環境がなければ全く利用できない点はデメリットになります。

インターネット回線にトラブルが発生した場合は作業することができません。

 

街中であれば、スマホのテザリングやフリーWi-Fiがあるカフェなどが利用できるため、大きなデメリットにはならないでしょう。

4-2.セキュリティ対策が必要

どこからでも様々な端末で利用できるという利便性故に、セキュリティ対策をしっかりと行う必要があります。

セキュリティ対策を怠り、IDとパスワードが流出してしまうと、部外者が会社の財務状況にアクセスできるようになってしまうというリスクがあります。

また、会社のデータはクラウド会計のサーバーに保存されているため、万が一、サーバーが攻撃された場合に情報が漏洩してしまうリスクがあります。

クラウド会計側で万全のセキュリティ対策が行われていますが、100%リスクがないとは言えないでしょう。

4-3.費用が継続的に発生する

インストール型の会計ソフトの場合は、バージョンアップなどを除き、導入時のみの必要負担で済みますが、クラウド会計は月契約・年契約が一般的であり、継続的な費用が発生します。

 

会社向けのクラウド会計は企業の規模、利用できるサービスの範囲によって料金が設定されており、長期間利用すれば結果的にインストール型の会計ソフトよりも費用が高額になってしまいます。

会社設立時のクラウド会計ソフトの選び方

会社設立時にクラウド会計を導入する場合には、次のポイントを参考にソフト選びを行うといいでしょう。

5-1.使いやすく、今後も長く使い続けられるか?

会計ソフトで最も重要なポイントは「使いやすさ」です。

クラウド会計は基本的に経理初心者の人でも見やすく、使いやすい設計になっています。

しかし、従来のインストール型に慣れており、複式簿記を理解している人にとっては「見づらい」と感じてしまうかもしれません。

 

クラウド会計にも様々な種類がありますので、無料期間を利用して使いやすいソフトを選んでみるといいでしょう。

5-2.自社の要望に合う機能があるか?

クラウド会計の大きなメリットは「自動仕訳作成」です。自動仕訳作成により記帳効率を飛躍的にアップさせることができます。

主要なクラウド会計ソフトは、銀行口座やクレジットカードなどの取引を自動で取り込むことができますが、ソフトによっては同期対応(API連携)できていない地方銀行もあります。

 

また、経理機能面でもソフトによっては、補助科目の代わりに取引先・品目・部門・メモタグを利用できるものもあり、財務分析を行ううえで非常に役に立ちます。

その他、スマホアプリの有無、他サービスの連携の有無など、自社の要望に合う機能があるかどうかに注目して選んでみるといいでしょう。

5-3.サポート体制が充実しているか?

クラウド会計ソフトによってサポート体制も様々です。

無料のチャットサポートがあるもの、電話サポートがあるものなど、各種ソフトがどのようなサポートを行っているのかを事前に確認しておきましょう。

 

ソフトによっては、初心者向けの導入サポートを行っている事業者もあり、面倒なデータ移行や初期設定を代行する導入支援プランを用意している場合もあります。

5-4.税理士が対応している会計ソフトかどうか

クラウド会計は比較的新しいサービスであり、クライントと税理士の間でオンラインストレージサービスを併用したデータ共有などが必要になるため、税理士にはある程度のIT知識が必要になります。そのため、IT知識があり、クラウド会計に対応している税理士は多くありません。

 

また、クラウド会計に対応している税理士であっても、自社が導入を検討しているソフトに対応していない場合もあるため、事前に確認が必要です。

まとめ

AIを利用した自動仕訳、電子帳簿保存法への対応など、クラウド会計を利用することでより効率的な会計業務を行うことが可能になります。

現状ではインストール型を利用している会社が多い状況ですが、DX化の流れから、将来的にクラウド会計が主要な会計ソフトになっていくでしょう。

 

Star Member(スタメン)公認会計士・税理士事務所は、freeeMoney Forwardなどの各種クラウド会計ソフトに対応しているDX化に強い会計事務所です。

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