事業承継・M&A

公開日:2025/2/19

事業承継を成功に導く税理士やコンサルの活用法について徹底解説!

この記事の監修
山田俊輔

StarMember公認会計士・税理士事務所
代表 山田俊輔(公認会計士・税理士・経営心理士)

あずさ監査法人にて、東証一部上場企業の会計監査、上場準備会社の監査、会社買収時のデューデリジェンス業務等を担当。
2010年に独立開業し、Star Member (スタメン)公認会計士・税理士事務所と株式会社日本会計サービスを立ち上げ、連結売上1,000億円超の社外取締役や売上数百億円~数億円の会社の取締役、監査役などを務める。2017年には野村證券なんば支店アドバイザリーボードメンバーにも選任。

企業を次の世代に引き継ぐ「事業承継」を成功させることができるかは、企業の存続・繁栄にとって非常に重要なポイントです。

特に中小企業においては、経営者の高齢化や少子化による後継者不足が問題となっており、適切な対策を講じることが急務となっています。

「事業承継について考えたいけど、誰に相談すればいいのだろう」

このような疑問を持つ経営者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。

事業承継の相談は事業承継に精通した税理士や専門の事業承継コンサルタントを活用することをおすすめします。

なぜなら、経営に関することから自社株式の評価や移転、税務面でのサポートなど、事業承継に欠かせない分野をサポートすることができるからです。

 

ここでは「事業承継を成功に導く税理士やコンサルの活用法」について詳しく解説します。

事業承継は準備が全てと言っても過言ではありません。早い段階で税理士やコンサルタントに相談し、対策を行うことが企業の安定に繋がります。

事業承継について考え始めている方は、ぜひ最後までお付き合いください。

そもそも事業承継とは?

事業承継とは、企業の経営を現経営者から後継者に引き継ぐことを言います。

後継者は、企業の経営権(株式)・企業の経営理念や文化・資産・負債など、企業に関わる全てのものを引き継ぐことになります。

経営者の子どもなど、親族が後継者になるケースが日本では一般的ですが、近年の少子化や子どもが事業承継を断るケースなど、後継者不足が問題となっており、親族以外の人が後継者になるケースも増加しています。

事業承継は「親族内承継」と「親族外承継」に大別することができ、親族外承継はさらに「社内事業承継」と「M&Aによる事業承継」に分けられます。

1-1.親族内承継

親族内承継は、名前のとおり現経営者の親族が後継者となり、企業の経営を引き継ぐことです。

日本では「親子だから子どもが経営を引き継ぐのが当然」という文化が根付いているため、現代でも一般的と考えられている事業承継方法です。

いわゆる「ファミリービジネス」と言われ、老舗旅館〇代目などが親族内承継であり、事業承継にあたり関係者から受け入れられやすいというメリットがあります。

1-2.社内事業承継

社内事業承継は、企業の役員や従業員を後継者にする方法です。

これまで企業に関わり、企業の文化や経営理念をよく知った人を後継者にすることで、承継後の企業の安定を図ることができるというメリットがあります。

ただし、後継者は現後継者の親族ではないため、会社の株式を相続することができず、株式を買い取るための多額の資金が必要になるデメリットもあります。

1-3.M&Aによる事業承継

親族内承継も社内事業承継もできない場合、後継者がいない企業は事業を畳んで清算するしか道がありませんでしたが、近年ではMA(企業の合併や買収)を利用した事業承継が増加しています。

MAを利用した事業承継では、株式譲渡や合併、株式交換、会社分割、事業譲渡など、様々な方法が用いられます。

基本的には、買収された企業はそのまま存続することができるため、廃業を回避し、従業員の雇用を守る方法として有効な方法です。

事業承継における税理士やコンサルの役割

事業承継において、税理士やコンサルの役割は多岐にわたり、どれも重要なものばかりです。主な業務内容は次のとおりです。

  • 事業承継方法の提案
  • 自社株式の株価の評価と評価を下げる対策
  • 株式を集中させるための対策
  • 贈与税や相続税の申告
  • 納税資金や株式購入費用の資金調達支援

2-1.事業承継方法の提案

先ほど見てきた通り、事業承継には3つのパターンがあり、どのパターンを選択するかによってこれからの進め方が全く異なります。

専門家であれば、事業承継のタイミングを含めて「どの方法による事業承継が企業にとってメリットが大きいのか」「実現可能性が高い方法はどれか」「贈与税や相続税の税負担を抑えられる方法はどれか」など、適切な提案を行うことができます。

2-2.自社株式の株価の評価と評価を下げる対策

事業承継では、現経営者から後継者に自社株式を少なくとも株式全体の50%超移転する必要があります。

自社株式を移転する際に重要になるものが「自社株式の評価額」です。株式の市場価格がない非上場株式の評価額は国税庁が定める基準で算出しなければならず、会社規模の判定や資産負債の時価評価など、非常に複雑な計算が必要になります。

親族内承継により株式を贈与、相続させる場合でも、親族外承継により株式を売買する場合であっても、自社株式の評価をもとに税金の計算や売買価格の計算を行うため、自社株式の評価額を正確に把握し、株価を下げる対策を講じることが重要です。

事業承継に精通する専門家は、自社株式の株価を下げる方法を熟知しており、組織再編や役員報酬の引き上げ、特別配当の活用、生命保険の加入、現経営者の退職金の支給など、その企業に最適な評価額の引き下げ案を提案することが可能です。

2-3.株式を集中させるための対策

自社株式の対策は、評価額を下げる対策だけでなく「議決権のシェアに関する対策」も必要になります。

後継者が安定した経営を続けていくためには、単独で2/3以上の議決権シェアが望ましいと言われています。

自社株式の分散は、経営上のトラブルに発展するおそれがあるため、少数株主からの株式の買い取りや遺留分に関する民法特例を活用する(親族内でトラブルになりそうな場合)など、事前の対策が重要になります。

会社法に詳しい税理士やコンサルに相談することで、議決権シェアを後継者に集中させるためのアドバイスを受けることができ、強い味方になってもらえるでしょう。

2-4.贈与税・相続税・譲渡所得の申告

自社株式の移転は、贈与・相続・譲渡のいずれかの方法で行うことになり、どの方法でも税金の申告が生じます。

税理士はこれらの税の専門家であり、対策から申告までをサポートすることが可能です。

贈与により株式を移転させる場合は、暦年課税と相続時精算課税のどちらを利用する方がいいのか、事業承継税制を利用できないかなどの提案ができます。

また、相続による株式を移転させる場合においても事業承継税制を利用した相続税の納付猶予を検討し、税負担を抑えた事業承継が行えます。

2-6.納税資金や株式購入費用の資金調達支援

自社株式の評価次第では、相続税や贈与税が高額になり、まとまった資金が必要になることもあります。

また、親族外承継では現経営者から株式を買い取るための資金が必要です。

資金調達をサポートしている専門家であれば、融資を受ける金融機関に提出する書類の作成や面談のサポートなどを行うことができ、資金調達面でも心強いでしょう。

税理士やコンサルが行う事業承継サポートの進め方

「事業承継を税理士やコンサルに相談するメリットは分かったけど、どのように事業承継を進めていくのだろうか」と疑問に思われる方もいらっしゃると思います。

通常の事業承継サポートは次のような手順で進めていきます。

3-1.現状把握・現経営者の意思の確認

最初に企業の現状の把握を行います。

財務状況をはじめ、株主構成などを把握し、現経営者が誰を後継者にしたいのか、いつごろ事業承継を実行したいと思っているのかについて詳しくヒアリングを行います。

3-2.自社株式の評価額の算定

事業承継は「自社株式の評価額を正確に算出し、対策によりいかに評価額を下げることができるのか」が重要なポイントです。

今後、適切な対策を行っていくためにも、現状の自社株式の評価額を正確に把握し、今後の経営で自社株式の評価額がどのように変化するのかを推測し、後継者への株式移転のスケジュールの検討を行います。

税理士による事業承継支援では、株式移転にかかる税負担も含めたところでシミュレーションすることができるため、後継者の資金計画を立てやすいというメリットがあります。

3-3.オーダーメイドの事業承継プランの作成

企業の現状と現経営者の意向、自社株式の評価額をもとにオーダーメイドの事業承継プランを考え、提案を行います。

事業承継を実行するまでの株式移転スケジュールをはじめ、自社株式の評価額を下げる対策や少数株主からの株式の買い取りに至るまでを考慮した実行可能性が高いプランを作成することで、事業承継を成功へと導きます。

3-4.プランの実行・臨機応変な軌道修正

作成したプランに基づき、事業承継を進めていきます。

事業承継は短い期間で行うものではなく、5年・10年といったスパンで行うことが一般的です。

長い期間がかかるため、企業の業績の変化や相続による株主構成の変化、税法の改正など、プランの作成時に予期できていない事態が発生することもあります。

プランは固定的にとらえるのでなく、臨機応変に修正・改善を行い、事業承継の着地点がぶれないようにします。

3-5.事業承継後のサポート

専門家の役割は事業承継が実行された後も続きます。

後継者の経営のサポートのほか、税務申告手続きや税務調査があった場合のサポートなど、事業承継後も強い味方としてサポートを行います。

事業承継を税理士やコンサルに依頼する場合の注意点

4-1.全ての税理士やコンサルが事業承継に精通しているわけではない

事業承継は、専門性が高い分野であり、経営や税務の知識の他にも会社法の知識や相続税の知識、民法の知識などが必要になります。

全ての税理士が事業承継に精通しているわけではないため「事業承継の実績が豊富であるか」を確認したうえで依頼するようにしましょう。

顧問税理士が事業承継に精通していない場合は、事業承継については専門の税理士やコンサルに依頼するという手段もありますので、検討してみましょう。

4-2.事業承継税制を検討する場合には、早めの相談を

中小企業が事業承継を行う際に大きな障壁なるものが贈与税や相続税の負担です。

この負担を取り除き、事業承継を円滑に進めるために「事業承継税制」が制定されており、適用条件を満たすことで、事業承継をする際に生じる贈与税や相続税を猶予または免除してもらうことができます。

事業承継税制の適用を受ける場合には、特例承継計画や認定申請書を作成し、都道府県等からの認定を受けなければならず、早めからの準備が必要です。

4-3.提案力・交渉力・スケジュール調整力のある税理士、コンサルを選ぶ

事業承継では、今後の企業の業績や社会情勢、後継者候補など、様々な要素を分析し、落とし込みながら計画を立てていかなければなりません。

親族外承継である場合は、MAの交渉やデューデリジェンスに関する交渉なども必要になることもあるため、専門家の提案力と交渉力は必要不可欠な要素です。

また、事業承継プランは長期におよぶことが多く、予想外の出来事が発生することもあります。

何が起きても対応することができるように、スケジュールを設計・管理できる調整力が必要です。

まとめ

事業承継は企業にとって大きな転換点であり、これからの企業の存続・発展に大きく影響する問題です。

必ず成功させるためには、事業承継に精通した税理士やコンサルタントに早めに相談し、しっかりと準備を行ったうえで実行するようにしましょう。

Star Member(スタメン)公認会計士・税理士事務所及び株式会社日本会計サービスは、事業承継に大きな強みを持つ事務所です。

組織再編を活用したご提案や事業承継にかかる資金負担の軽減、中長期的な対策の実施など、安心の事業承継サポートをご提供しております。

事業承継を考え始めた際は、当事務所にお気軽にご相談ください。

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