事業承継・M&A

公開日:2025/3/4

事業承継に補助金を活用して成功する方法を徹底解説!

この記事の監修
山田俊輔

StarMember公認会計士・税理士事務所
代表 山田俊輔(公認会計士・税理士・経営心理士)

あずさ監査法人にて、東証一部上場企業の会計監査、上場準備会社の監査、会社買収時のデューデリジェンス業務等を担当。
2010年に独立開業し、Star Member (スタメン)公認会計士・税理士事務所と株式会社日本会計サービスを立ち上げ、連結売上1,000億円超の社外取締役や売上数百億円~数億円の会社の取締役、監査役などを務める。2017年には野村證券なんば支店アドバイザリーボードメンバーにも選任。

事業を次の世代に引き継ぐ「事業承継」は、中小企業の重要な課題であり、企業の存続がかかった重要な出来事でもあります。

「経営者の子どもが経営を引き継ぐだけなので、そんな難しいことではないだろう?」と思われる方もいらっしゃいますが、事業を引き継いだ後に企業を継続して発展させていくことは難しく、承継後に新たな取り組みが必要になるケースもあります。

 承継後に新たな取り組みを行うためには資金がどうしても必要です。

日本政府では、後継者のために補助金制度を用意しており「この補助金制度に採択されるかどうか」「上手に活用することができるかどうか」が事業承継を成功させる鍵となります。

 ここでは「事業承継に補助金を活用して成功する方法」について詳しく解説します。

補助金は借入金と違い、将来的に返済が必要のない資金であり、その資金を活用して新たな取り組みを行い、利益構造を改善させることで企業の業績拡大、安定に繋がります。

事業承継に直面している人、後継者になる方は、ぜひ最後までお付き合いください。

事業承継・引継ぎ補助金

事業承継に関する補助金には、中小企業庁が実施する「事業承継・引継ぎ補助金」があります。

事業承継・引継ぎ補助金は、どの地域で事業を行っていても申請できる補助金になっており、補助金上限額も高く、活用しやすい補助金です。

 事業承継・引継ぎ補助金は、事業承継を契機として新しい取り組みを行う中小企業や事業再編、事業統合を行う中小企業を支援する制度であり、既存の事業承継補助金と経営資源引継ぎ補助金が2021年度に統合された制度になります。

 事業承継・引継ぎ補助金は3つのカテゴリーに分かれており、それぞれ補助の対象、補助率、補助金の上限が異なります。

 なお、申請を行うためには「認定経営革新等支援機関の確認」が必要になります。

 

種類 補助対象 補助率 補助上限
経営革新枠 一定期間内に事業承継やM&Aによって

経営資源を引き継いでいること

1/22/3 600万~800万円

※条件や賃上げ実施により異なる

専門家活用枠 補助事業期間に経営資源を譲り渡す、または譲り受けるもの 1/22/3 600万円

 

廃業・再チャレンジ枠 事業承継やM&Aに伴い廃業等を行うもの 1/22/3 150万円

 経営革新枠の概要

経営革新枠は、経営や事業を引き継いだ経営者、または引き継ぐ予定がある後継者が引き継いだ経営資源を活用し、新たな事業活動を行うことで経営を向上させる「経営革新」を行う場合の費用を補助する補助金枠です。

(出典:中小企業庁)

 経営革新枠は、事業承継の手段や種類によって3つに区分されます。

①創業支援類型(Ⅰ)→事業承継に伴い、開業や法人設立を行い、経営革新に取り組む場合に該当します。単なるのれん分けや物品等の売買の場合は該当しません。

 ②経営者交代類型(Ⅱ)→現経営者の親族や企業の従業員等が経営を引き継ぎ、経営革新に取り組む場合に該当します。代表者の交代が主な対象になります。

 M&A類型(Ⅲ)M&Aを契機として経営革新に取り組む場合に該当します。

2-1.経営革新に該当する取り組み

経営革新枠を利用するためには「経営の相当程度の向上を図る取り組み」が必要になります。

具体的には、次のような取り組みが該当します。

  • 新商品の開発または生産
  • 新役務の開発又は提供
  • 商品の新たな生産方式または販売方式の導入
  • 役務の新たな提供方式の導入
  • 技術に関する研究開発およびその成果の利用
  • その他の新たな事業活動

 上記の取り組みを行い、さらに以下のいずれかを伴う事業である必要があります。

  • デジタル化に資する事業
  • グリーン化に資する事業
  • 事業再構築に資する事業

2-2.対象になる経費

経営革新枠で補助の対象になる経費には次のようなものがあります。

 店舗などの家賃、設備費、外注費、マーケティング調査費、原材料、旅費交通費、広告宣伝費、廃業費など

2-3.補助率・補助上限額

 

条件 賃上げ 補助上限額 補助率
①小規模企業者

②営業利益率低下

③赤字

④再生事業者等

のいずれかに該当

実施 800万円 600万円超~800万円相当部分 1/2以内
実施せず 600万円 600万円相当部分 2/3以内
上記①~④該当なし 実施 800万円 1/2以内
実施せず 600万円

(出典:中小企業庁)

門家活用枠の概要

専門家活用枠とは、事業再編・事業統合などを活用したM&Aを行う際に専門家に係る費用等を補助する枠組みです。

前述した経営革新枠は、事業承継後の取り組みの費用が対象になっていましたが、専門家活用枠は承継前の引継ぎに係る費用を支援するという点で異なります。

 3-1.対象になる経費

専門家活用枠で対象になる経費には次のようなものがあります。

FA業務又は仲介業務に係る着手金、マーケティング費用、リテーナー費用、基本合意時報酬、成功報酬、価値算定費用、デューデリジェンス費用、M&A マッチングサイトの登録等に係るシステム利用料など

 ※専門家活用枠での専門家とは、中小企業庁が創設した「M&A支援機関登録制度」に登録された機関のことを指します。この制度には次の機関が登録しています。

M&A仲介・フィナンシャルアドバイザー、金融機関、商工団体、税理士・公認会計士・中小企業診断士などの士業

3-2.補助率・補助上限額

専門家活用枠は、買い手と売り手に分かれており、対象になる経費や補助限度額は同じですが補助率が異なります。

 

類型 補助率 補助下限額 補助上限額 経費区分
買い手支援類型(Ⅰ型) 補助対象経費の3分の2以内 50万円 600万円以内

※廃業費が発生した場合上限150万円が上乗せ

【事業費】

謝金、旅費、外注費、委託費、システム利用料、保険料

【廃業費】

廃業支援費、在庫廃棄費、解体費、原状回復費、リースの解約費、移転・移設費用

売り手支援類型(Ⅱ型) 補助対象経費の3分の2以内又は2分の1以内

(出典:中小企業庁)

業・再チャレンジ枠の概要

廃業・再チャレンジ枠は、M&Aの失敗などにより、事業を譲り渡せなかった中小企業者等の株主や個人事業主が地域の新たな需要の創造や雇用の創出に資する新たなチャレンジを行う場合に、既存事業の廃業にかかる経費の一部を補助する枠組みの補助金です。

(出典:中小企業庁)

 廃業・再チャレンジ枠は、要件を満たすことで他の経営革新枠や専門家活用枠と併用して申請することができます。

単独申請と併用申請の要件は次のとおりです。

単独申請する要件→M&Aで事業を譲り渡せなかった事業者による廃業・再チャレンジ

 

併用申請する要件→事業承継に伴う廃業や事業の譲り渡し・譲り受けに伴う廃業

4-1.対象になる経費

廃業・再チャレンジ枠で対象になる経費には次のようなものがあります。

廃業支援費、在庫廃棄費、解体費、原状回復費、リースの解約費、移転・移設費用など

4-2.補助率・補助上限額

 

申請の種類 補助率 補助下限額 補助上限額
再チャレンジ申請 2/3以内 50万円 150万円以内
併用申請 1/2又は2/3以内

(出典:中小企業庁)

その他の事業承継に活用できる補助金

事業承継後の新しい取り組みを行う場合、事業承継・引継ぎ補助金の他にも、次の補助金を活用できる見込みがあります。

5-1.ものづくり補助金

ものづくり補助金(ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金)は、生産性を向上するための設備投資支援を目的とした補助金です。

「ものづくり」という名称のため、製造業しか対象にならない補助金と思われる方もいるかもしれませんが、生産性の向上に繋がる設備に関するものであれば、小売業やサービス業、農業など、様々な業種で活用することができる補助金です。

 要件を満たす企業であれば申請することができ、後継者が生産性の向上を図るために設備を導入する場合に活用することが可能です。

5-2.事業再構築補助金

事業再構築補助金は、中小企業等の新分野展開、業態転換、業種転換などの思い切った「事業再構築」の挑戦を支援する補助金です。

事業承継後に新たな分野に注力する場合や業種を転換する場合に活用することが可能です。

補助金は「通常類型」「GX進出類型」「最低賃金類型」の3つの枠に加え「卒業促進上乗せ措置」「中長期大規模賃金引上促進上乗せ措置」が用意されており、それぞれ要件や補助率、補助上限額が異なります。

 5-3.IT導入補助金

中小企業等が業務効率化、DX化のために設備を導入する場合に活用できる補助金です。

補助金の枠組みには「通常枠(A類型、B類型)」「インボイス枠(電子取引類型、インボイス対応類型)」「複数社連携IT導入枠」「セキュリティ対策推進枠」の4枠があり、様々な業種で活用することができる補助金です。

 事業承継においても、経営者が交代するタイミングでIT技術を導入しDX化を進めたり、セキュリティを強化したりする場合には活用することが可能な補助金です。

地方自治体の支援

地方自治体の中には、独自で事業承継・M&A支援の補助金を制定している自治体もあります。

例えば、奈良県の「奈良県事業承継円滑化支援補助金」では、補助率1/2、補助上限額50万円になっています。

大阪府では、補助金ではありませんが「チャレンジ応援資金(事業承継支援資金)」という融資支援を行っています。

地方自治体の事業承継に関する支援は様々です。企業の所在地の地方自治体に事業承継に関する支援について問い合わせてみるといいでしょう。

事業承継に補助金を活用して成功する方法

事業承継で補助金を活用するためには、どのような補助金があり、自社の場合に活用できる補助金はどれになるのかを見極める必要があります。

そのためには、まずは情報収集を行い、確認するうえでも専門家に相談しましょう。

補助金は申請すれば必ず交付されるものではなく、審査を通過しなければなりません。

審査では、事業計画の実現可能性を含め、経営革新性、地域経済への影響など、様々な観点から評価されるため、品質の高い事業計画の策定が求められることになります。

 補助金を活用は事業承継後の自社の発展に大きく寄与するものであると同時に、審査の際に策定した事業計画は後継者である経営者の最初の目標にもなります。

事業承継を成功させるための補助金の活用を考えてみましょう。

まとめ

事業承継・引継ぎ補助金は、スムーズな事業承継と事業承継後の企業の安定を図るための政府からの支援制度です。

しかし、制度の概要や種類、対象になる経費、申請方法等が複雑であり、認定経営革新等支援機関の確認を受ける必要があります。

まずは、確認するためにも早めに専門家に相談してみましょう。

 

Star Member(スタメン)公認会計士・税理士事務所は、事業承継に大きな強みを持つ事務所です。

認定経営革新等支援機関として登録されており、事業承継・引継ぎ補助金について対応することができます。

補助金を活用し、事業承継を成功に導くためのサポートを行っておりますので、事業承継を考え始めた際は、当事務所にお気軽にご相談ください。

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