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公開日:2025/10/7

資金調達を税理士に依頼すべき3つの理由・具体的な役割・失敗しない選び方5選

この記事の監修
山田俊輔

税理士法人オンデック
代表 山田俊輔(公認会計士・税理士・経営心理士)

あずさ監査法人にて、東証一部上場企業の会計監査、上場準備会社の監査、会社買収時のデューデリジェンス業務等を担当。
2010年に独立開業し、税理士法人オンデック公認会計士・税理士事務所と株式会社日本会計サービスを立ち上げ、連結売上1,000億円超の社外取締役や売上数百億円~数億円の会社の取締役、監査役などを務める。2017年には野村證券なんば支店アドバイザリーボードメンバーにも選任。

事業を運営するうえで多くの経営者が「資金調達」という大きな壁に直面します。

優れたビジネスアイデアやサービスがあっても、資金がなければ事業を軌道に乗せたり、成長させたりすることは非常に難しいことです。

「新しい事業を始めたいが、自己資金だけでは足りない」

「事業を拡大したいが、設備投資の資金が…」

このような状況には資金調達が必要不可欠です。

しかし、どのように資金調達を行えばいいのか、誰に相談すればいいのか、と悩まれている方も少なくありません。

そんな時、心強いパートナーとなるのが「税理士」です。

税理士は税金の専門家というイメージが強いかもしれませんが、実は資金調達においても非常に重要な役割を果たします。

 

ここでは「なぜ資金調達を税理士に依頼すべきなのか」その具体的な理由と役割、そして資金調達に強い税理士を見極めるための5つのポイントを詳しく解説します。

目次[非表示]
  1. 資金調達の相談先として「税理士」を選ぶべき3つの理由
    1. 1-1.理由①財務・資金繰り・税務を総合的に判断できる専門家である
      1. 税理士ができる分析・提案
    2. 1-2.理由②金融機関からの信用度が向上する
    3. 1-3.理由③会社に合った最適な調達方法・タイミングを判断できる
  2. 税理士の資金調達を成功に導く具体的なサポート内容と役割
    1. 2-1.事業計画の策定と資金調達計画の立案
    2. 2-2.申請書類の作成
    3. 2-3.金融機関との面談対策
    4. 2-4.資金調達後のフォローアップ
  3. 失敗しない!資金調達に強い税理士の選び方5つのポイント
    1. 3-1.①資金調達の「実績数」と「得意分野」を確認する
    2. 3-2.②顧問先企業の業種や事業ステージへの対応力
    3. 3-3.料金体系が明確で、成功報酬の相場から大きく外れていないか
    4. 3-4.フットワークの軽さとレスポンスの速さ
    5. 3-5.コミュニケーションの取りやすさなど相性が良いか
  4. 税理士に資金調達サポートを依頼する際の費用相場と注意点
    1. 4-1.報酬相場
    2. 4-2.注意点
      1. 4-2-1.着手金(手付金)の有無と返金条件
      2. 4-2-2.調達ができなかった場合の費用
  5. 事業フェーズ別!税理士と取り組むべき資金調達の方法
    1. 5-1.創業・起業時
      1. 日本政策金融公庫(新創業融資制度)
    2. 5-2.事業成長期
      1. 民間金融機関からのプロパー融資
      2. ベンチャーキャピタル(VC)からの出資
    3. 5-3.経営難・緊急時
      1. セーフティネット貸付
      2. 補助金・助成金
  6. まとめ

資金調達の相談先として「税理士」を選ぶべき3つの理由

資金調達の相談先は、地域の商工会議所・商工会や経営コンサルタントなどがありますが、その中でも税理士をパートナーに選ぶことは会社の未来を考えるうえでも非常に有効です。

資金調達の相談先として「税理士」を選ぶべき3つのメリットをご紹介します。

1-1.理由①財務・資金繰り・税務を総合的に判断できる専門家である

税理士は税金の専門家であるとともに、会計の専門家です。

日々の記帳代行や決算業務を通じて、会社の財務状況を誰よりも深く、そして正確に把握しており、その専門性が資金調達の場面で大きな力になります。

税理士ができる分析・提案

  • 財務状況の客観的な分析

税理士は決算書などの財務データから、会社の強みや弱み、潜在的なリスクを客観的に分析することができ、分析に基づき「なぜ資金が必要なのか」「調達した資金をどう活用し、返済していくのか」といった、説得力のあるストーリーを作り上げることが可能です。

  • 資金繰りの改善提案

資金繰りの悪化により資金調達が必要になる場合、一時的な借り入れだけでは問題は解決しません。

税理士は、財務状況を分析し、在庫管理の見直しや売掛金の回収サイクルの改善など、資金繰りの根本的な問題解決に向けたアドバイスを行うことができます。

  • 税務面からのアドバイス

資金調達の方法によっては、予期せぬ税負担が発生することがあります。

例えば、補助金や助成金は「収益」として扱われるため、法人税・所得税の課税対象になります。

税金のプロである税理士に依頼すれば、こうした税負担を事前に把握し、納税資金の準備も含めた最適な資金計画を立てることが可能です。

1-2.理由②金融機関からの信用度が向上する

金融機関が融資審査で最も重視するのは「貸した資金が確実に返済されるか」ということです。

そのため、提出される事業計画書や決算書の信頼性が審査結果に大きく左右します。

税理士が関与することで、提出した事業計画書や決算書は第三者である専門家によって客観的に検証されたものとして、金融機関から高く評価されます。

また、税理士に依頼していること自体が「経営者が資金管理や財務に対して真剣に取り組んでいる」という姿勢の表れだと受け取られ、金融機関からの信用度向上に繋がります。

1-3.理由③会社に合った最適な調達方法・タイミングを判断できる

資金調達方法は、金融機関からの融資以外にも国や自治体が提供する補助金・助成金、ベンチャーキャピタルからの出資、クラウドファンディングなど様々な方法があり、それぞれメリット・デメリットがあります。

資金調達に精通した税理士であれば、数ある選択肢の中からクライアントにとってどの方法が最適な資金調達方法か、資金調達を行うベストなタイミングはいつかを見極めて提案することが可能です。

税理士の資金調達を成功に導く具体的なサポート内容と役割

税理士の資金調達に関するサポートは多岐にわたります。

どのようなサポートを提供するのか、具体的に見ていきましょう。

2-1.事業計画の策定と資金調達計画の立案

資金調達の成否は、説得力のある事業計画書を作成できるかどうかにかかっていると言っても過言ではありません。

事業への熱意を伝えるだけでなく、売上予測や利益計画などを具体的な数字で示し、その根拠を明確にする必要があります。

 

税理士は、会社の財務状況を深く理解しているため、客観的なデータに基づいた実現可能性の高い事業計画の策定をサポートすることが可能です。

金融機関が納得するような堅実かつ成長性のある事業計画の策定と資金調達計画の立案を経営者とともに作り上げていくことで、融資審査を通過する可能性を高めることができます。

2-2.申請書類の作成

融資や補助金の申請には、事業計画書のほかにも決算書や資金繰り表などの帳票が要求されます。

税理士は、会計・税務に関するプロフェッショナルであるため、必要書類を漏れなく準備することができます。

事前準備を整えることで万全の体制で融資審査に挑むことが可能です。

2-3.金融機関との面談対策

融資審査では、書類審査だけでなく、融資担当者と経営者の面談が必須となるケースがほとんどです。

面談では、事業内容や将来性、返済計画について、経営者自身の言葉で説明することが求められるため、ハードルが高いと感じてしまう経営者の方も少なくありません。

面談に不安を感じる場合は、経験豊富な税理士に相談することで、面談で想定される質問の予測や回答例などを一緒に考え、ロールプレイングを行うなど、事前に対策を行うことができます。

また、税理士によっては、面談に同席し、専門的な観点から説明を補足してくれる場合もあり、経営者にとって非常に心強い存在になります。

2-4.資金調達後のフォローアップ

税理士の役目は資金調達が成功したら終わりではありません。

調達した資金をいかに有効活用し、事業を成長させていくかを共に考え、資金繰りの改善や節税対策、次の成長に向けた追加融資のタイミングなど、継続的な経営サポートを提供します。

長期的な視点で伴走してくれるパートナーがいることで、会社は安定した経営基盤を築き、持続的な成長を目指すことができるのです。

失敗しない!資金調達に強い税理士の選び方5つのポイント

資金調達のサポートは「税理士なら誰でもいい」というわけではありません。

税理士にも得意、不得意の分野があり、全ての税理士が資金調達に精通しているわけではないため、資金調達で失敗しないためには資金調達に強い税理士を選びましょう。

ここでは、資金調達を成功させるためのパートナー選びで失敗しないための5つのポイントをご紹介します。

3-1.①資金調達の「実績数」と「得意分野」を確認する

はじめに確認すべきポイントは、資金調達に関する具体的な実績です。

税理士事務所のホームページなどを確認し、資金調達の実績数や具体的な成功事例を確認してみましょう。

また、融資制度へ精通しており、補助金・助成金を活用するノウハウを持っている税理士に相談することで幅広い選択肢を提供してもらえるでしょう。

3-2.②顧問先企業の業種や事業ステージへの対応力

税理士選びでは、自社と同じ業種や事業ステージ(創業期、成長期、経営難など)の企業をサポートした経験が豊富かどうかも重要な判断基準になります。

業界特有の商慣習や資金繰りの特徴を理解している税理士であれば、より現実的で説得力のある事業計画を立てることが可能です。

例えば、設備投資が多い製造業と売掛金の回収サイクルが重要な卸売業とでは、資金調達のポイントが異なるため、業種への理解が重要になります。

また、事業ステージへの対応力も大切なポイントです。

創業期の会社には創業融資のノウハウ、成長期の会社には大規模な資金調達、そして経営難の会社には再生支援の実績が求められるため、自社の事業ステージに対応できる税理士を選びましょう。

3-3.料金体系が明確で、成功報酬の相場から大きく外れていないか

資金調達サポートの料金体系は、税理士事務所によって異なります。

契約後に思わぬ費用が発生することがないよう、料金体系の明確さは必ず確認しましょう。

3-4.フットワークの軽さとレスポンスの速さ

資金調達のプロセスでは、予期せぬ問題が発生したり、急な判断を迫られたりすることがあります。

このような時に迅速かつ柔軟に対応してくれるフットワークの軽さは非常に重要です。

 

問い合わせや質問に対するレスポンスの速さは、その税理士の顧客対応への姿勢を判断するうえでの1つの指標となりますので確認しておきましょう。

3-5.コミュニケーションの取りやすさなど相性が良いか

最終的には、税理士や担当者との相性が最も重要になります。

資金調達は、会社の財務状況というデリケートな情報を共有し、二人三脚で進めていくプロセスになるため「説明の分かりやすさ」や「話しやすさ」「将来のビジョンへの共感」ができる税理士・担当者かどうかを見極めましょう。

税理士に資金調達サポートを依頼する際の費用相場と注意点

実際に税理士に資金調達のサポートを依頼する場合、どれくらいの費用が必要になるのでしょうか。

報酬の相場と契約前に確認すべき注意点について見ていきましょう。

4-1.報酬相場

融資支援の報酬は税理士によって様々ですが、報酬の形態は「顧問契約型」と「成功報酬型」に分類されます。

顧問契約型とは、顧問税理士に融資支援を依頼する場合のことを指し、成功報酬は融資額の約25%が一般的です。

成功報酬型はスポットでの契約であり、成功報酬は同じく約25%程度になるでしょう。

ただし、成功報酬型の場合、融資支援のために会社の財務状況や事業計画を一から把握する必要があるため、報酬は高めになる傾向があります。

4-2.注意点

4-2-1.着手金(手付金)の有無と返金条件

業務を開始する際には、成功・不成功にかかわらず着手金が発生します。

相場は3万円~5万円程度になっており、着手金無料の事務所もあります。

着手金が必要な場合は、どのような場合に返金されるのかを必ず契約前に確認しましょう。

融資が成功しなかった場合でも返金されないことが一般的ですが、事務所の方針を明確にしておくことでトラブルを回避することができます。

4-2-2.調達ができなかった場合の費用

成功報酬型の場合、資金調達ができなかった場合には報酬は発生しません。

ただし、着手金を設定している場合、着手金は返ってこないのか、他に費用は生じないのかを契約書で確認し、成功しなかった場合の費用負担について理解しておくことが重要です。

事業フェーズ別!税理士と取り組むべき資金調達の方法

会社の成長段階や置かれている状況によって、最適な資金調達の方法は大きく異なります。

ここでは「創業・起業時」「事業成長期」「経営難・緊急時」の3つのフェーズに分けて見ていきましょう。

5-1.創業・起業時

事業を始めたばかりの創業期は、まだ事業実績や社会的信用が乏しいため、資金調達の選択肢が限られます。

この時期に最も適した資金調達方法は、国や自治体が提供する公的な融資制度になるでしょう。

日本政策金融公庫(新創業融資制度)

100%政府出資の金融機関である日本政策金融公庫が提供する「新創業融資制度」は、原則として無担保・無保証人で利用できます。

実績が乏しい場合でも、斬新なアイデアや明確な事業計画があれば融資を受けられる可能性があるため、創業・起業時に利用しやすい資金調達方法です。

5-2.事業成長期

事業が軌道に乗り、さらなる拡大を目指す成長期には、より多様で大規模な資金調達が可能になります。

民間金融機関からのプロパー融資

事業が好調な時期には、都市銀行や地方銀行といった民間金融機関からの融資も受けやすくなります。

特に、金融機関が直接リスクを負って行う「プロパー融資」は、会社の信用度が高い証とも言える融資であり、まとまった事業資金を調達したい場合に積極的に活用したい資金調達方法です。

ベンチャーキャピタル(VC)からの出資

ベンチャーキャピタル(VC)は、将来性が見込まれる事業計画を持つ会社に投資し、企業が株式公開(IPO)などを行った際の売却益を得ることを目的としている投資ファンドです。

出資での資金調達になるため、調達した資金は返済が不要であり、事業成長に集中できるという大きなメリットがあります。

5-3.経営難・緊急時

予期せぬ業績悪化など、経営が困難な状況に陥った場合でも、諦める必要はありません。

慎重な判断が必要になりますが、税理士と連携することで乗り越えるための資金調達が可能です。

セーフティネット貸付

セーフティネット貸付(経営環境変化対応資金)は、一時的に業績が悪化した事業者向けの融資制度です。

税理士とともに、財務状況を客観的に分析し、実現可能性の高い経営改善計画の策定を行うことで資金調達が可能になります。

補助金・助成金

国や地方自治体が提供する補助金や助成金は、原則として返済が不要なため、経営難の際には非常に有効な手段です。

利用できる補助金・助成金がないか調べてみましょう。

まとめ

資金調達は、単にお金を集めることだけが目的ではなく、会社の未来を左右する重要な経営戦略です。

その重要なプロセスを成功に導くためには、信頼できる税理士のサポートが不可欠です。

 

税理士法人オンデックでは、資金調達のご相談にも積極的に対応しております。

経験豊富な担当が貴社に最適な融資支援を行いますので、融資を検討されている場合はお気軽にご相談ください。

融資支援は成功報酬になっており、相談したら必ず依頼しなければいけないということはありませんので、安心して電話・チャットワーク・LINEなどでお問い合わせください。

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