公開日:2025/10/15
税理士の顧問料はいくら?料金内訳・決定要因・費用を安く抑えるポイントを徹底解説
税理士法人オンデック
代表 山田俊輔(公認会計士・税理士・経営心理士)
あずさ監査法人にて、東証一部上場企業の会計監査、上場準備会社の監査、会社買収時のデューデリジェンス業務等を担当。
2010年に独立開業し、税理士法人オンデック公認会計士・税理士事務所と株式会社日本会計サービスを立ち上げ、連結売上1,000億円超の社外取締役や売上数百億円~数億円の会社の取締役、監査役などを務める。2017年には野村證券なんば支店アドバイザリーボードメンバーにも選任。
税理士は、会社の決算業務や個人事業主の確定申告はもちろん、経営に関する相談や資金調達のサポートなどにも対応する、事業運営にとって欠かせない存在です。
しかし、税理士に依頼する場合「顧問料がどのくらいになるのか」については、経営者・個人事業主にとって気になるポイントではないでしょうか。
ここでは「税理士に支払う費用の一般的な相場」を法人と個人事業主のケースに分けて詳しく解説し、さらに、料金が変動する要因やコストを抑えつつ最適なサービスを受けるための具体的なポイントを紹介いたします。
税理士の顧問料・報酬の相場一覧
税理士の顧問料(月額)の相場は月額30,000円が1つの目安とされており、月額顧問料以外にも決算費用や記帳代行などのオプション費用が別途必要になります。
また、月額顧問料は法人なのか個人事業主なのか、また事業規模、依頼する業務範囲によって大きく変動するため、相場感を掴むことは非常に難しいと言えるでしょう。
あくまでも目安ですが、各費用の一般的な相場を見ていきましょう。
1-1.法人(中小企業)の年間顧問料・報酬相場
法人(中小企業)の顧問料は、個人事業主よりも作業量が多くなるケースが多いため、高めに設定される傾向になっています。
法人の月額顧問料は、一般的に30,000円~60,000円が相場とされていますが、売上規模や面談頻度によって大きく異なります。
具体的な月額顧問料の相場は、年商1,000~3,000万円の法人であれば、訪問頻度に応じて月額30,000円程度が目安です。
年商が1億円を超える企業では、月額50,000円からスタートすることが一般的で、従業員数や面談頻度が増えると月額顧問料は増加します。
1-1-1.記帳代行報酬の相場
自社で帳簿を作成するのではなく、税理士に記帳代行を依頼する場合は、月額顧問料とは別に追加の費用が発生します。
税理士に記帳代行を依頼するケースでは、取引のボリュームにもよりますが月額顧問料に20,000円程度の加算が目安になるでしょう。
1-1-2.決算申告報酬の相場
税理士と顧問契約を交わしていても、年に1回の決算申告の報酬は別途支払う必要があります。
決算申告業務にかかる費用の目安は、月額顧問料の3か月~6か月ほどになっており、顧問料が高ければ決算申告報酬も比例して高くなります。
1-2.個人事業主の年間顧問料・報酬相場
個人事業主の場合、法人に比べて業務量が少ないため、顧問料は比較的安価になり、月額顧問料は10,000円~30,000円程度が相場になるでしょう。
1-2-1.記帳代行報酬の相場
税理士に記帳代行を依頼する場合は、月額20,000円が相場になります。
ただし、月間の取引量が極めて少ないケースなどは月額数千円で請け負ってくれるケースもあるため、取引量のボリュームによって記帳代行費用は大きく異なります。
1-2-2.確定申告報酬の相場
個人事業主の確定申告の相場は、法人の決算申告報酬と月額顧問料の3か月~6か月、または100,000円~200,000円が相場になります。
1-2-3.確定申告のみを依頼するケース
個人事業主の場合、顧問契約を結ぶのではなく、確定申告のみをスポット契約で依頼するケースも珍しくありません。
個人事業主が確定申告のみを依頼する場合の相場は、事業規模などにもよりますが150,000円~250,000円程度が目安になるでしょう。
税理士の顧問料を決定する6つの要因
ここまで一般的な税理士費用の相場を紹介しましたが、税理士の顧問料は会社の状況や依頼内容といった様々な要因によって大きく変動します。
顧問料を変動させる主な要因を見ていきましょう。
2-1.会社の「売上高・事業規模」と「仕訳数」
会社の売上規模・事業規模は、税理士の顧問料の金額を左右する大きな要因の1つです。
売上高が大きい会社ほど、取引数や請求書、領収書などが多くなるため、税理士の業務量が増加することになります。
また、売上や費用の増加に伴う税務処理の複雑化や申告書が複雑になることで申告ミスのリスクや税理士が負う責任が大きくなるため、顧問料が高くなる傾向にあります。
取引量が多くなると会計仕訳数も比例して多くなり、仕訳数が多いほど税理士の作業量が増加するため、税理士への顧問料は高くなります。
2-2.税理士の訪問頻度(月次・四半期・年次)と面談形式
税理士と顧問契約を行うと、毎月1回、または四半期に1回、年に1回など、決まった頻度で税理士(または担当者)と面談し、財政状態の報告・経営アドバイス・節税アドバイスなどを行うことが一般的です。
面談により、税理士が会社の経営状況を細かく把握し、節税対策や資金繰りについてタイムリーなアドバイスを提供できるというメリットもある一方で、面談頻度が高いほど、税理士の稼働時間が増加するため顧問料は高くなります。
最近では、面談を対面ではなくオンライン(Web会議、電話、メールなど)で実施したり、経営者側が事務所に赴いたりすることで、顧問料を安くするプランを提供している税理士事務所も存在します。
2-3.「記帳代行」「給与計算」など依頼するサービスの範囲
税理士との顧問契約には、税理士の独占業務である税務代理、税務書類の作成、税務相談などが含まれますが、これらに加えて記帳代行や給与計算、年末調整などの付随業務を依頼する場合はオプション料金として別途費用が加算されるケースが一般的です。
2-4.税理士の経験・スキルと専門分野
税理士の顧問料の料金設定は税理士によって大きく異なり、豊富なキャリアを持ち、適切な指導監査や経営助言を提供できる税理士であるほど高い顧問料を設定している傾向があります。
例えば、特定の業界(医療、建設、飲食など)における特有の慣行や法規制に精通している場合や税務調査で的確な交渉ができる手腕や、複雑な経営コンサルティング、高度な節税シミュレーションを行う能力などを持つ税理士に依頼するのであれば、相場よりも高い顧問料になるでしょう。
2-5.使用する会計ソフトの種類と経理体制
近年のIT化に伴い、税理士業界もクラウド会計ソフトが普及しており、自動仕訳機能などにより税理士の業務が効率化されています。
この効率化は、税理士の稼働時間や労力の削減につながるため、クラウド会計ソフトの利用を前提とした安価な記帳代行サービスを提供している税理士も存在します。
また、会社が自社で経理業務を行えば、税理士に記帳代行を依頼する必要はなくなり、毎月の税理士費用を削減することが可能です。
2-6.地域性
税理士事務所の所在地が都市部か地方かによって税理士報酬に差が生じることがあります。
東京や大阪などの大都市圏にある税理士事務所であれば、事務所の家賃やスタッフの人件費などが地方に比べて高くなるため、これらのコストは税理士費用に転嫁され、顧問料が高くなる可能性があります。
税理士の顧問サービス+オプションの内容
税理士と顧問契約を締結すると、一般的には基本業務と付随するサービス、追加料金を支払うことで受けられるオプションサービスを受けることができます。
3-1.基本業務と付随するサービス
税理士のみが行える業務(独占業務)は、顧問契約の中心となるサービスです。
【顧問契約で期待できるサービス】
※税務調査立会いは別途、日当が発生します。
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3-2.オプションサービス
顧問契約の月額顧問料には、全ての業務が含まれているわけではなく、以下の業務はオプションサービスとして別途費用が発生することが一般的です。
【別途費用が発生するオプションサービス】
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顧問料を適正価格に抑えるための3つのポイント
税理士への毎月の顧問料は、会社の経費削減に直結するため、可能であれば安く抑えたいと考える経営者も少なくありません。
ここでは、費用を適正価格に抑えるための具体的なコツを見ていきましょう。
4-1.会計ソフトを導入し自計化を徹底する
税理士に支払う費用を削減する効果的な方法の1つは「記帳業務を自社内で行う(自計化)」ことです。
「会計なんてできない」と思われる方もいらっしゃいますが、近年ではクラウド会計ソフトを銀行口座やクレジットカードの情報と連携することにより、自動で仕訳が作成されるため、専門知識が少なくても記帳業務を効率的に行うことが可能です。
自計化により税理士の負担を減らすことができれば、その分顧問料の削減に繋がります。
4-2.訪問回数を減らしオンラインで完結させる
税理士との面談回数が多ければ多いほど顧問料は高くなる傾向にあるため、月次訪問から四半期、あるいは年次訪問へと回数を減らすことで、顧問料を下げられる可能性があります。
また、対面での面談ではなく、電話やメール、Web会議などのオンラインツールを利用してやり取りを行うことも顧問料の削減に効果的です。
税理士が訪問・移動にかかる時間や交通費といった負担が減るため、その分の顧問料を削減することができる場合もあります。
4-3.【依頼内容の見直し】必要なサービスに絞り、パッケージ化を避ける
税理士への費用は、依頼するサービスが多くなれば費用も高くなります。
費用を抑えるためには、自社で対応できる範囲の業務は税理士に任せずに、専門的な知識を要する業務のみを税理士に依頼することが大切です。
特に創業期の会社や経理・税務の知識を持つ人材がいる会社の場合は、日常的な業務は自社で対応し、決算申告や税務相談のみを税理士に依頼することで年間を通して顧問料を低く抑えることができます。
「安い税理士」と「高い税理士」の決定的な違いと費用対効果の考え方
税理士費用は事務所によって料金体系は様々です。
「安かろう、悪かろう」とは限りませんが、報酬の金額は提供されるサービス内容や品質とある程度比例しているのも事実です。
「安い税理士」は費用面で魅力的ですが、安さだけを追求してしまうとサービスの品質に満足できず、後悔してしまう可能性がありますので、費用対効果を十分に見極めて顧問税理士を選択するようにしましょう。
「安い税理士」のデメリットや「高い税理士」との違いについては「格安税理士のデメリットとは?失敗しないための選び方を徹底解説」をご覧ください。
まとめ
中小企業や個人事業主にとって顧問税理士は事業を発展させるためにも重要な存在です。
しかし、毎月の顧問料の支払いが利益を圧迫してしまっている場合は「適切な顧問料の相場なのかどうか」「自計化や訪問回数を減らす、またはオンラインで完結させることにより顧問料を削減できないか」を検討してみてはいかがでしょうか。
税理士法人オンデックでは、税理士の顧問契約に関するご相談にも積極的に対応しております。
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