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更新日:2024.10.7

公開日:2024/10/2

DX化とは?DX化のメリットやDX化の進め方について解説!

この記事の監修
山田俊輔

StarMember公認会計士・税理士事務所
代表 山田俊輔(公認会計士・税理士・経営心理士)

あずさ監査法人にて、東証一部上場企業の会計監査、上場準備会社の監査、会社買収時のデューデリジェンス業務等を担当。
2010年に独立開業し、Star Member (スタメン)公認会計士・税理士事務所と株式会社日本会計サービスを立ち上げ、連結売上1,000億円超の社外取締役や売上数百億円~数億円の会社の取締役、監査役などを務める。2017年には野村證券なんば支店アドバイザリーボードメンバーにも選任。

近年「DX」という言葉を耳にすることが多くなっていませんか?

DX化のことを「デジタル化やIT化の総称」と思っている方も少なくないのではないでしょうか。

DX化は、企業の「生産性の向上」と「コストの削減」「働き方の改革」へ対応していくことであり、現代を生き残る企業に必要不可欠であるアナログからデジタルへの「変化」のことを言います。

ここでは「DX化の概要やメリット、DX化の進め方」について詳しく解説します。

社内のDX化を検討されている方は、ぜひ最後までお付き合いください。

1.DX化とは?

企業が事業を行う上で「生産性の向上」は常に追い求めていかなければならない課題の1つです。

日本の労働生産性は、他の先進国よりも低いと言われており、その理由には日本の企業の「長時間労働文化の常態化」や「デジタル化の遅れ」があげられます。

労働生産性が低いということは、業務に無駄が多く、従業員に長時間労働などの過度な負担をかけているということであり、企業にとっても働く従業員にとっても良いことではありません。

DX化とは、これまでのアナログで行ってきた部分に急速に進むITやデジタル技術を企業が取り入れ、労働生産性の向上、イノベーションの促進、顧客満足度の向上を目指す取り組みのことを言います。

1-1.DXの定義

DXはデジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation)を略した言葉であり「データとデジタル技術を活用して企業のビジネスモデルに変革を起こし、企業の競争力を高めていくこと」を指す言葉です。

1-2.IT化と何が違う?

よく混同してしまう言葉に「IT化」があります。

ITはInformation Technologyの略であり、コンピュターやネットワーク技術を取り入れ、アナログをデジタル化するという意味で使用される言葉です。

一見、IT化とDX化は同じ意味だと感じてしまいますが、IT化は既存のアナログ業務プロセスをデジタル化に置き換えることで業務効率化を図ることに対し、DX化は企業のビジネスモデルそのものの変革を目指す取り組みのことを言います。

つまり、IT化は「手段」であり、IT化を用いることでDX化という「目的」を達成するというイメージで捉えると分かりやすいでしょう。

【DX化とIT化の違い】

  DX IT
取り組みの規模 会社として取り組む 部署別・チーム別
取り組みの期間 長期間にわたって取り組む 短期でも可能
投資の規模 多額の投資が必要 部分的に少額の投資でも可能
取り組みによる変化 ビジネスモデルの変化、イノベーションの創出 業務の効率化

2.なぜDX化が注目されているのか

IT化、デジタル化という言葉は昔から利用されていましたが、近年では「DX化」が注目されています。

注目されている理由は、経済産業省のDXレポート「2025年の崖」問題があげられます。

「2025年の崖」とは、IT市場の急速な変化に対応できず、DXを実現できない企業は深刻な経営危機に陥り、IT技術を活用せずに放置すると日本経済に最大で年間12兆円の経済損失が生じる可能性があると提唱されている問題です。

2020年以降、新型コロナウイルス感染症の影響により、テレワークによる在宅勤務を含め、企業のデジタル化が大きく前進しました。

今までデジタル化に関心がなかった企業もDX化の必要性を実感し、多くの企業がDX化を進めています。

また、経済産業省ではDX化への取り組みが優良な企業を認定する「DX認定制度」を創設しており、国によるDX化への支援を行っていることも注目されている要因になっています。

3.DX化のメリット

「自社もDX化を進めなければ…」と漠然と考えている方もいると思いますが、DX化を取り組むうえでは、メリットとデメリット、DX化の課題を正しく理解しなければなりません。

DX化のメリット、デメリットについて見ていきましょう。

3-1.業務効率の向上

DX化を進めることで、業務のIT化・デジタル化により、業務効率を大幅に向上させることが可能です。

AIやIoTなどの最新のIT技術を活用することで、業務の見直しや自動化、分散していたデータの統合などを行い、業務効率の最適化、人件費の削減、さらにはヒューマンエラーをなくし、品質向上を図ることもできます。

従業員は、今まで作業にかかっていた時間を商品開発などのクリエイティブな作業に使うことができ、革新的な製品やサービスを生み出すことが可能になるでしょう。

3-2.働き方改革の促進

「DX化」と「働き方改革」は切っても切れない関係です。

働き方改革では、長時間労働を生み出さないようにするための勤怠管理とテレワークなどによる生産性の向上を行うことでワークライフバランスを実現することを目的としています。

これらの実現には、DX化を行い、RPA(ロボティックプロセスオートメーション)などを活用した業務の自動化、長時間労働の抑制、業務効率化、生産性向上が必要になります。

つまり、DX化を行うことで働き方改革も同時に進めていくことができるのです。

3-3.新しいビジネスモデルの創出

DX化では新しいビジネスモデルの創出も期待されています。

デジタル化に伴い、様々なものに情報という付加価値をつけることが可能になります。

例えば、製造業ではDX化によりアズ・ア・サービス(as a Service)という新たなビジネスモデルが確立されています。

アズ・ア・サービスとは、製品機能のサービス化のことを言います。

今までは、メーカーは「製品を販売すること」がビジネスモデルでしたが、アズ・ア・サービスでは、定期メンテナンスなどのサービスを提供し、サービスの対価として収益を得るビジネスモデルです。

分かりやすい例で言えば、会計ソフトのクラウド化があげられます。

従来までは会計ソフトをパッケージ版で購入して使用するケースが一般的でしたが、近年ではパッケージ型ではなくクラウド版の会計ソフトが一般的になってきています。

パッケージ型の会計ソフトの場合はソフトというものを販売して収益を生み出していたのに対し、クラウド版の会計ソフトは無料で提供し、月額使用料を収益にするビジネスモデルです。

このようにDX化では、ものではなくサービスを提供する「商品のDX化」などの新しいビジネスモデルの創出が期待されています。

3-4.競争力強化

DX化の目的の1つに企業の競争力強化があげられます。

似たような製品があふれる現代社会では、どのような付加価値を付けるかが重要な鍵になります。

DX化を進め、消費者の購買意欲や消費行動の変化などを分析することで顧客ニーズに合った製品やサービスを提供することが可能になり、競争力が強化されます。

4.DX化のデメリット・課題点

DX化には、様々なメリットがありますが、デメリットや課題もあります。DX化を進める場合には、マイナスの部分もよく理解して進めていきましょう。

4-1.導入コストがかかる

DX化するにあたり、一番頭を悩ますことが「コストの問題」です。企業をDX化するためには、デジタル機器を導入することなるため、高額な導入コストが発生してしまいます。

各段階における予算の目安は次のとおりです。

・デジタイゼーション(一部のアナログ的な作業のデジタル化)
⇒50万円~200万円程度。新規システム開発する場合は数百万円のコストがかかる。

・デジタライゼーション(デジタル化によって業務プロセスの全体を最適化)
⇒100万円~3,000万円程度

・DX(組織全体の変革)
⇒1,000万円~1億円。規模によってはそれ以上のコストが必要。

4-2.デジタル技術に精通した人材の不足

多くの企業がDX化を進める一方で、デジタル技術に精通したDX人材の不足が深刻化しています。

企業の中のDX人材が不足してしまうと、システムの更新や移行作業が適切にできなくなり、投資したデジタルシステムを上手く使いこなせなかったり、セキュリティが脆弱になってしまったりする可能性が考えられます。

また、社内にDX人材が不足すると外部のコンサルタントに依頼しなければならず、運用コストが増加してしまいます。

DX化は、デジタル機器を導入するだけではなく、研修などを通してDX人材を育成することが非常に重要です。

4-3.DX化による短期的な効果が見え辛い

多くの企業がDX化に取り組んできますが、DX化を一時中断する企業もあります。

その背景には「DX化は具体的な成果や効果が見えにくい」ということがあげられます。

DX化には、効率化によるコスト削減、新規ビジネスモデルによる収益増加、競合他社に負けない競争力強化など、企業によって様々な目的があります。

これらを標準化した1つの物差しで測ることは難しく、短期的な成果や効果を判断しづらいと言えます。

また、単純にDX化による成果であるのか、それとも他の要因による成果なのかが分かりづらいこともあり、継続してDX化を行うことを断念してしまう企業もあります。

5.DX化の進め方

DX化を進めるためにはデジタル化が必要不可欠ですが、デジタル化と言っても部署や業務によってデジタル化の内容が異なります。DX化はおおまかに次の順序で進めていくといいでしょう。

5-1.DX化の目的を明確にする

まずはDX化の「目的」を明確にしましょう。DX化は全社に影響を及ぼすため、経営陣のDX化における目的を従業員に表明し、全社で取り組んでいくことが重要です。

新しいビジネスモデルの開発などの「攻めのDX」を目指すのか、それとも企業の内部プロセスや運営の効率化などの「守りのDX」を目指すのかをはっきりとさせましょう。

5-2.現状の把握と競合他社のDX化の状況の調査を行う

目的が定まったら現在の会社の状況の把握を行います。

DX化するためには、現在のシステムの改修や刷新が必要になる場合が多くあるため、現在のシステムの現状を把握するとともに、現場担当者からの業務プロセスや課題などのヒアリングを行います。

また、競合他社のDX化の状況を調査し、良い部分を取り入れながら自社が遅れを取らないようにDX化を進めていきましょう。

5-3.業務フローの見直しと改善

現状把握で収集した情報をもとに、どの業務フローが自動化や効率化を実現できるかの検討を行います。

DX人材がいない企業の場合は、既存の人材では対応できなくなるケースが多いため、コンサルタントへの依頼やDX人材の採用などの対応が求められます。

5-4.適切なツールを選定・導入

デジタル化の流れが急速に進む現代では、様々な自動化システム、デジタルツールが誕生しています。

デジタル化を行う業務や規模、コストに応じて自社に最適なツールを選定しましょう。

ツールを選定する際には、利用する自社の従業員のITスキル、非IT人材でも利用できるかどうかなどをしっかりと調査し、導入を行いましょう。

5-5.運用と定着化

DX化はシステムを導入すれば終わりではありません。

現場の従業員が継続的に運用できている状況を作らなければなりません。

デジタル化で起こる問題の1つに「アナログに戻ってしまう」というものがあります。

現場の従業員がシステムを使いこなすことができず、慣れたやり方に戻ってしまうことがあるため、新たに現場が利用しやすい業務フローを導入し、定着化させましょう。

6.DX化を成功させるためのポイント

DX化を成功させるための大事なポイントは次の2点です。

・小さな成功を積み立てること

最初から大きな投資を行い、DX化を進めるのではなく、まずは社内のデータ活用や一部の業務の効率化などからスタートし、検証と改善を繰り返しながら小さな成功を積み上げることがDX化を成功させるポイントです。

・会社組織で取り組むこと

DX化を成功させている企業は、個人単位ではなく、組織単位でDX化に向けた認識を共有し、取り組みを行っています。

DX化を進めていくと、今までの業務フローや仕組みが大きく変化します。会社組織として一丸となって取り組むことが重要です。

6-1.DXの導入事例

業種別にDXの導入事例を見ていきましょう。

【製造業】
・スマートファクトリー化
・需給予測の高度化
・サプライチェーンマネジメントのデジタル化
・AI、ビッグデータ、IoTの活用

【小売・卸売業】
・ロボティック・プロセス・オートメーションを活用した業務の自動化
・AIによる需要予測
・ブロックチェーン技術によるサプライチェーン管理の効率化

【サービス業】
・非対面チャンネルの充実
・チャットボットの活用
・顧客とのコミュニケーションを一元管理できるサービスの導入

まとめ

DX化を実現させるには、多くの資金と時間、IT人材が必要です。

しかし、直接的に効果を実感しづらいため、途中で中断する企業も少なくありません。

しかし、現代社会ではDX化は必要不可欠、既存の製品やサービスにテクノロジーという付加価値を付けることで新しい価値の提供が可能になります。

企業を新しく生まれ変わらせるためにも、少しずつDX化に取り組んでいきましょう。

Star Member(スタメン)公認会計士・税理士事務所は、DX化に取り組む企業をサポートしております。

ともにアイデアを出し合い、お互いが発展していけますように尽力いたします。

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