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公開日:2024/11/28

【成長ステージ別】戦略的に企業価値を最大化する方法

この記事の監修
山田俊輔

StarMember公認会計士・税理士事務所
代表 山田俊輔(公認会計士・税理士・経営心理士)

あずさ監査法人にて、東証一部上場企業の会計監査、上場準備会社の監査、会社買収時のデューデリジェンス業務等を担当。
2010年に独立開業し、Star Member (スタメン)公認会計士・税理士事務所と株式会社日本会計サービスを立ち上げ、連結売上1,000億円超の社外取締役や売上数百億円~数億円の会社の取締役、監査役などを務める。2017年には野村證券なんば支店アドバイザリーボードメンバーにも選任。

企業価値とは、その名称通り「企業の経済的な価値」のことを言います。

経済的な価値とは、企業そのものの価値であり、企業が保有している資産の価値だけではなく「将来どれだけの収益を生み出すことができるか」「事業を通じて関係者や社会にどれだけ貢献することができるのか」など、企業の総合的な魅力を判断する指標でもあります。

企業価値は、企業が存続していくため、成長していくために非常に重要な要素になります。企業価値が低く、魅力がない企業は取引先からの信頼を得ることができず、金融機関等から融資を受けることも難しく、資金が足りずに倒産に陥ってしまうこともあります。

企業経営では「企業価値の最大化」を意識しているだけでも変化が生じます。

ここでは「魅力的な企業になるための戦略的な企業価値の最大化」について解説します。

企業価値の重要性

企業価値は、企業全体の価値を指標で表したものであり、企業の事業活動、資産や負債、キャッシュフローなどを含めた、総合的な価値のことを言います。

株主にとって、企業価値が高い企業とは、魅力的で将来的に成長し続ける企業であると考えられます。

出口戦略として「IPO(株式公開)」や「M&A(事業売却)」を考えている場合は、企業価値によって株価や事業の売却価額が判断されることになりますので、出口戦略を考えるうえでも企業価値を最大にすることは非常に重要です。

 

また、企業価値は株主だけではなく、企業の従業員や取引先などにも関わる指標です。

企業価値が高い企業であれば、従業員の仕事へのモチベーションアップ、取引先に好感を持たれることで販路拡大が容易になるなど、企業価値の高さは様々な場面で多くのメリットを生み出します。

企業価値と間違えやすい「時価総額」

企業価値と混同しがちなのが「時価総額」です。時価総額とは、1株あたりの株価に発行済株式数を乗じて算出し、企業の価値を測る1つの指標として用いられます。

一方、企業価値は企業の状況や目的によって様々な計算方法により算出されます。

企業価値を計算する3つの方法

企業価値を計算する方法について3つご紹介します、

3-1.企業が保有する資産に着目した「ネットアセットアプローチ」

企業の資産から負債を差し引いた「純資産」をもとに企業価値を求める方法です。

一般的には企業が保有する資産・負債を現在の時価に置き換えて計算する「時価純資産価額法」を用いて企業価値の評価を行います。

目に見える資産だけを評価するのではなく、将来的に利益を生み出すと見込まれる「営業権」を加えることで、より信頼性の高い企業価値を計算することが可能です。

3-2.将来いくら儲かるのかを評価する「インカムアプローチ」

評価対象の企業から期待される利益・配当・キャッシュフローを企業の現在価値に換算することで評価を行う方法です。

企業の収益性を軸に企業価値の評価を行い「この企業に投資すると、どれくらい回収できるのか」という分析が可能であるため、投資家目線での企業価値の評価方法と言えるでしょう。

 

インカムアプローチは「将来の収益を予測する」という側面があるため、現在の価値に直して考えなければなりません。

インカムアプローチでは、客観性を高めるためにも、現在価値に割り引いて企業価値を算出する「DCF(Discounted Cash Flow)法」が用いられます。

3-3.市場環境を反映した計算方法「マーケットアプローチ」

マーケットアプローチは、対象企業が行っている事業と類似した事業を行っている企業や取引事例を対象企業と比較することで企業価値を求める方法です。

類似取引比較法」「類似企業比較法」といった手法が用いられ、市場の取引環境を反映した客観性の高い評価を行うことが可能です。

主に株式市場やM&A市場などで利用されます。

企業価値を最大化させる方法

企業価値を向上させ、最大化させるためには主に次の3つのアプローチが有効です。

4-1.事業の収益性を向上させる

企業価値を高める方法で、一般的かつ最も効果的な方法です。

利益の源泉となる売上を確保し、収益性をあげていくためには、しっかりとした経営戦略、重要業績評価指標(KPI)を設定する必要があります。

 

収益性の向上は、営業力を高めて売上高を伸ばしていくことが非常に重要ですが、予実管理などを実施し、生産コストの見直しや競合他社との差別化、顧客満足度の向上などについても真摯に向き合い、取り組んでいくことも重要です。

4-2.投資効率の最適化

投資効率の最適化とは、不要な資産をできるだけ保有せず、事業のムダをなくすことです。

事業のムダがなくなれば、おのずと事業はいい方向に進んでいきます。

投資効率の最適化は、流動資産と固定資産を分けて考える必要があります。

4-2-1.流動資産の効率化

流動資産とは、流動的に変化する資産のことであり、売掛金や棚卸資産(在庫)、買掛金などが該当します。

これらの資産は「資金繰り」に大きく影響してくる資産であるため、効率化を行うことでキャッシュフローが改善され、経営が安定化、企業価値の向上に繋がります。

流動資産の効率化では次の項目を見直しましょう。

  • 売掛金の回収時期を早める
  • 在庫の回転率を上げる
  • 買掛金の支払時期を遅くする

これらの見直しは取引先との関係性が重要です。

取引先の資金繰りに悪影響を及ぼす可能性があるため、一方的で無理な見直しではなく、取引先と協議しながら進めていきましょう。

4-2-2.固定資産の効率化

企業の固定資産には、事業を行ううえで必要不可欠な設備や不動産などのほか、活用されていない設備や器具備品などが含まれます。

活用されていない遊休状態の固定資産には、固定資産税や償却資産税の課税対象になっているものもあり、利益を生まないにも関わらず、無駄な支出が生じている場合があります。

 

固定資産の効率化では、活用できていない資産を処分し、バランスシート(貸借対照表)のスリム化を進めることで企業価値が向上します。

また、器具備品などについては実地調査を行い、実際の固定資産の運用状況と帳簿上にズレが生じていないのかを確認することも重要です。

4-3.財務の最適化

財務の最適化とは、資金調達と資金の利用方法を見直し、資金繰りの改善、安定した経営を実現するために必要な見直しです。

「今は資金繰りには困っていない」といった状況であっても、財務の最適化を行うことで、将来に備えることが可能です。

財務の最適化は「現状の把握」「改善可能性の検討」「金融機関への相談」の3つのステップで進めるといいでしょう。

4-3-1.現状の把握

財務の最適化で、最初に行うことは「現状の把握」です。自社がどのような資金繰りの流れになっているのかを正確に把握するところから始めます。

自社にどれくらいキャッシュに余裕があり、いくらぐらい有利子負債を返済しなければならないかを見極めましょう。 

4-4-2.改善可能性の検討

自社のキャッシュフローの現状を把握したら、財務状況に改善できる点がないかどうかの検討を行います。

金融機関から資金を借り入れることは決してマイナスというわけではなく、金融機関からの融資をもとに事業を拡大、収益を増大させること(財務レバレッジ効果)ができます。

重要なのは、借入金の金利以上に収益をあげており、滞りなく融資の返済を行えているのかを検討することが重要です。

4-4-3.金融機関への相談

財務状況の改善が必要だと判断した場合、借り換えなどについて金融機関に相談しましょう。

自社の資金繰りの状況をしっかりと伝え、今後の事業計画、借入金の最適化を行いたい旨を説明しましょう。

金融機関の同意を得ることができれば、財務の最適化に向けて手続きを進めていくことができます。

【成長ステージ別】戦略的に企業価値を最大化する方法

一言で「企業」と言っても、人に人生のステージがあるように企業にも成長ステージがあります。

企業には主に「創業期」「成長期」「安定期」の3つのステージがあり、それぞれ企業価値を高める方法も異なります。

5-1.創業期

創業期は、創業から概ね5年以内、従業員の数は多くなく、売上規模も大きくない時期です。

生産・販売のサイクルを試行錯誤しながら、自社に適した方法を模索している時期でもあります。

 

創業期における課題は「経営の方向性」が定まっていないことです。

ミッションやビジョンが明確ではなく、理想と現実のズレを感じることも少なくありません。

課題を解決するためには、明確なビジネスモデルを確立し、ビジョンや経営ポリシーの言語化を行うことが重要です。

 

また、創業期は「企業の軸」を作り上げていくための重要な時期です。

創業期の企業価値を最大化させるためには、いち早く売上を拡大し、利益の黒字化を推し進める必要があり、適切な投資(設備、広告、人への投資)を行うことが課題の解決の鍵になります。

経理のDX化を行い、経営と財務がリアルタイムで繋がる環境を構築することでスピーディな意思決定が可能になりますので、創業期にこそ必要な投資を必要な時に行いましょう。

5-1-1.創業期に頼りになる支援

創業期では、いかに経営者のビジョンを明確化させることできるのか、また課題についてはスピード感を持って取り組む必要があります。

Star Member(スタメン)公認会計士・税理士事務所では、創業期の企業に最適なサポートをご提供しております。

【創業期の弊社支援】

月次決算

経理DX化支援

決算前戦略会議

資金繰表作成支援

資金調達支援

「月次決算」「経理DX化支援」「決算前戦略会議」については、通常の税務顧問契約に含まれており、ご要望により「資金繰り表作成支援」「資金調達支援」のサービスを追加した「企業価値最大化に向けてのサービス」をご提供しております。

5-2.成長期

創業期の黒字が安定していくと、利益を大きく伸ばせる成長期に突入します。

成長期になると、企業組織として規模が大きくなり、これまで経験がないスピードで企業がスケールアップしていきます。

 

成長期に発生する課題は「まとまりがない組織」になってしまうリスクがあることです。

闇雲に利益を追い求める創業期とは違い、より詳細な事業分析とマネジメント能力が必要になってきます。

5-2-1.成長期に頼りになる支援

成長期には、いかに戦略的な計画を行えるかが鍵になります。

実現可能な事業計画策定をし、事業計画の下支えとなるKPI(重要業績評価指標)設定、予実管理による毎月の経営会議と現場PDCA体制の構築が必要です。

また、借入だけでない外部資本調達による財務の盤石化、企業の規模に応じたバックヤードのDX化などの検討も行いましょう。

 

当事務所では、成長期のクライアント様に次のような企業価値最大化支援を行っています。

【成長期の弊社支援】

事業計画策定とKPI(重要業績評価指標)設定による予実管理支援

管理会計(経営管理or原価管理)構築支援

資本政策を中心とした資金調達支援

バックヤードDX化支援

月次決算早期化

経営全般の伴走支援

5-3.安定期

成長期に事業を拡大させ、競合他社との差別化、優位性を確立すると「安定期」に入ります。

安定期になると、一通り企業のルールやシステムが整備され、これまでの主力事業は盤石な経営基盤として機能し、大きな経営改善を行わなくても数年間は安定して利益を見込める時期です。

 

しかし、社会の変化は早く、激しいため、常に次の一手を考えておかなければ市場から置いていかれてしまうでしょう。

新事業の立ち上げやM&Aを利用したシナジー創出、IPO(株式公開)を目指すなど、さらに企業価値を向上させていくことが課題となります。

5-3-1.安定期に頼りになる支援

MAIPO(上場)などに向け、さらに企業価値を高めていかなければなりません。

安定期に企業価値を高めるには、成長期よりもさらに専門的で高度な支援が必要です。

 

当事務所では、成長期のクライアント様に次のような企業価値最大化支援を行っています。

【成長期の弊社支援】

事業計画(短期、中期)策定支援

事業計画策定とKPI(重要業績評価指標)設定による予実管理支援

管理会計(経営管理or原価管理)構築支援

M&A支援

IPO(上場)支援

資本政策を中心とした資金調達支援

バックヤードDX化支援

組織再編支援

月次決算早期化

経営全般の伴走支援

5-4.出口戦略

企業の出口とは、親族や第三者への事業承継、IPO(上場)を指します。

当事務所では、出口戦略に向けて企業価値を最大化させ、株主の利益も最大化できるサポートを行っております。

【出口を考えた時の弊社支援】

事業承継支援

M&A支援

IPO(上場)支援

資本政策を中心とした資金調達支援

組織再編支援

PMI支援

経営全般の伴走支援

まとめ

企業価値を高めていくことは、単純に売上規模を拡大するだけではなく、企業のステージに合わせて課題の克服、経営理念に基づいた新たな目標の設定が必要になってきます。

「どうすれば課題を早急に把握し、解決まで導けるのか」「どのような目標を設定すればいいのか」などが企業価値の最大化に繋がります。

 

Star Member(スタメン)公認会計士・税理士事務所は、お客様の企業価値の最大化を目指し、ステージごとの支援サービスをご提供しております。

税務分野以外についても、お客様の経営にサポーターとして強力にバックアップいたします。

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