公開日:2025/6/2
税理士は近くで探すのが良いのか?メリット・デメリットや探し方のポイントを解説!


StarMember公認会計士・税理士事務所
代表 山田俊輔(公認会計士・税理士・経営心理士)
あずさ監査法人にて、東証一部上場企業の会計監査、上場準備会社の監査、会社買収時のデューデリジェンス業務等を担当。
2010年に独立開業し、Star Member (スタメン)公認会計士・税理士事務所と株式会社日本会計サービスを立ち上げ、連結売上1,000億円超の社外取締役や売上数百億円~数億円の会社の取締役、監査役などを務める。2017年には野村證券なんば支店アドバイザリーボードメンバーにも選任。
顧問税理士を選ぶ際にはサービスや価格、税理士の得意分野など、様々な要素を考慮してどの税理士に依頼するのかを決めることがポイントです。
その中でも選択の際に悩むポイントが税理士事務所の「場所」です。
自社の所在地と税理士事務所の場所が近ければ対面でのコミュニケーションが取りやすく安心に繋がる場合もあるでしょう。
また、オンライン上でのやり取りだけだと割り切ってしまう場合には場所にこだわらない選択肢もあるでしょう。
ここでは「顧問税理士を選ぶ場合に近くで探すほうがいいのかどうか」についてメリット・デメリットを含めポイントを解説します。
近年では一昔前と違い、税理士事務所が自社のホームページを持っていたり、インターネットでの税理士検索サービスが充実していたり、税理士選びの選択肢が増えているため、会社の近くの税理士を見つけることは難しくありません。
「近くの税理士に頼むとどんなメリット・デメリットがあるのか」この記事を参考に税理士の選び方について考えていただければ幸いです。
税理士は近くで探すべきか?
顧問税理士が会社の近くにある場合、急を要する税務相談や経営についての相談、大切な書類の受け渡しなどがスムーズに進むため、税理士事務所の場所を重要視する方も少なくありません。
しかし、税理士事務所の場所にこだわりすぎると自社とマッチした税理士と出会うチャンスを逃してしまうおそれがあります。
会計や税務は会社の成長に欠かせない大切な要素です。
税理士事務所の場所にこだわるよりも自社(経営者)と相性がよく、業界に関する専門的な知識を持ち、適切なアドバイスをくれる税理士のほうが会社にとって有益になることは間違いありません。
「距離よりも会社の要望にどれだけ親身に応じてくれるのか」のほうが優先順位が高いということを忘れないようにしましょう。
1-1.近くで探さなくてもよいケース
以前は月に1回、税理士事務所のスタッフがクライアントのもとに訪問し、会計処理が適正に行われているか確認する巡回監査が一般的でした。
しかし、近年では税理士とクライアントの付き合い方も変化しており、ビジネスチャットツールやクラウド会計ソフト等のデジタルツールを活用した記帳業務やビデオ会議システムを活用した相談体制を整備している税理士事務所も多くなってきており、距離に関係なく細かなサービスを提供できるようになってきています。
「デジタルツールの活用に抵抗がある」「対面で会って話したい」といった場合を除き、税理士事務所との距離を意識する必要性は減ってきています。
ただし、全ての税理士がデジタルツールを活用しているわけではありませんので、遠方の税理士事務所を選ぶ場合はオンライン対応ができる税理士事務所かどうかの確認が必須と言えるでしょう。
税理士を近くで探すメリット
デジタルツールの発展により、税理士との距離の重要性は薄れてきていますが、距離が近いということは様々なメリットに繋がります。
【税理士を近くで探すメリット】
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2-1.対面での相談がしやすい
距離が近い税理士事務所の場合、お互いが気軽に訪問しやすく、顔を合わせて相談しやすいというメリットがあります。
経営判断や税務は「リアルタイムでの情報提供」が求められる場合が多いため、気軽に立ち寄って話が聞ける状況は会社の経営にも有利に働き、経営者にとって大きな安心に繋がります。
また、距離が近いということは同じ地域の話題や出身学校の話など、共通した話題を交わしていくことで親密な関係を築きやすいというメリットもあります。
飲食をともにするなど、遠方の税理士には難しい付き合い方ができるでしょう。
2-2.緊急時やトラブル発生時に迅速に対応してもらいやすい
会社経営を行っていると早急な判断が必要になる場合やトラブルに対応しなければならない場面が生じます。
距離が近い税理士であれば、すぐに駆けつけ、迅速な対応を期待することができるでしょう。
例えば、急に税務署から税務調査の連絡があった場合、遠方の税理士であれば移動時間も含めたスケジュール調整が必要になり、調査立会などの対応が難しいケースも考えられます。
近くの税理士であれば、移動時間を考える必要がないため柔軟に対応してもらうことができるでしょう。
また、税理士が税務調査官と顔なじみである場合もあるため、和やかに税務調査が進む可能性もあります。
2-3.地域特有の経済状況や制度に詳しい可能性がある
税理士は基本的に事務所があるエリアのクライントを抱えていることが多く、地域の経済状況や地域で実施している助成金・補助金などの制度に精通している場合があります。
特に税理士は金融機関との繋がりがあることが多いため、地銀や信金からの融資を受けたいという場合には相談にのってもらえるでしょう。
他にも、地域での活動が長い税理士であれば、他の士業とのネットワークがあり、状況に応じて司法書士や社労士、弁護士などを紹介してもらえる可能性もあります。
2-4.移動時間や手間が省ける
遠方の税理士と直接会って相談したい場合、遠方であるほど移動時間と移動のコストがかかります。
移動時間や移動コストが生じてしまうと、気軽に対面で相談することが難しくなってしまいます。
また、近年ではデジタル化が進んでいるものの、紙媒体でやり取りを行わなければならない場面もあり、郵送での書類の受け渡しに時間がかかってしまうこともあります。
近い税理士であれば、直接手渡しができ、急ぎの場合でも迅速に対応することができるでしょう。
税理士を近くで探すデメリット
距離が近い税理士に依頼することにはメリットが多くありますが「距離の近さ」に拘ってしまうとデメリットが生じるおそれもあります。
【税理士を近くで探すデメリット】
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3-1.選択肢が狭まる
近くで税理士を探すデメリットは「選択肢の少なさ」です。
東京や大阪などの大都市圏であれば、近くの税理士に限定しても選択肢は多くあるかもしれませんが、地方で税理士を探す場合は税理士の数が少なく、選択肢が狭まります。
税理士選びは「経営のパートナー選び」です。十分な選択肢がないパートナー選びは後悔してしまう可能性が高まりますので、距離に拘りすぎた税理士選びには注意が必要です。
3-2.専門分野に特化していない可能性がある
ひと括りに税理士と言っても、それぞれ得意な分野や対応できる内容などが異なります。
建設業やIT業界、医療分野など、それぞれ特有の会計知識や税務知識が必要になる場合があるため、距離で税理士を選んでしまうとこれらの専門知識を持っておらず、適切なアドバイスを受けられないリスクがあります。
また、会社数が少ない地方では税理士の数が少なく、税理士同士の競争が激しくないため、サービスの品質が向上しづらい傾向になっている場合が考えられます。
近くの税理士の探し方
距離で税理士を選ぶと選択肢の少なさや専門分野に特化していないリスクなどのデメリットが考えられますが、近くに自社が営む業種への専門性が高く、自社と合いそうな税理士がいる場合はベストな選択と言えるでしょう。
では、どのようにして税理士を探せばいいのでしょうか。
おすすめの税理士の探し方をご紹介します。
4-1.GoogleMapを活用して検索する
Google社が提供する地図サービス「GoogleMap」の検索機能を利用すると地域の税理士事務所を検索することができます。
検索欄に「地域 税理士」と入力するとGoogleMapに登録してある税理士事務所がヒットしますので参考にするといいでしょう。
また、GoogleMapでは税理士事務所の口コミを確認することができるため、他の利用者からのレビューを参考にできることも大きな特徴です。
ただし、1人の税理士が何千件も高品質なサービスを提供することは難しく、顧問先の数が限られることになるため、税理士事務所の口コミ数は多くはありません。
4-2.ネット検索をして探す
GoogleMap検索と同様にインターネットの検索エンジンに「地域 税理士」と検索することで地域の税理士事務所のホームページを検索することができます。
ホームページでは、対応できる分野や料金設定、代表税理士の人物像や考え方などが記載されている場合が多く、どのような税理士事務所なのかをイメージしやすいでしょう。
事務所のホームページを持っていない場合もあるため、全ての税理士事務所の情報を見つけることはできませんが、料金もかからずに手軽に探すことができます。
4-3.紹介サービスを利用する
税理士の紹介サービスは、自分で一から税理士を探す手間がかからず、税理士の紹介を受けられるサービスです。
サービスを利用すれば、自社に適した条件を満たす税理士を複数人紹介してもらえ、比較検討したうえで選択することができます。
紹介してもらえる税理士は、その紹介サービスに登録している税理士に限られているため、必ずしも自社にとってベストな税理士を紹介してもらえるとは限りませんが、自分で探して連絡を取り、面談スケジュールを調整するといった手間を省くことができるため、便利なサービスと言えますが、一般的な傾向として優秀な税理士は紹介サービスに登録していないので要注意です。
4-4.知人や取引先からの紹介
知り合いの経営者がいる場合、人脈を利用して税理士を紹介してもらうことも1つの方法です。
他の経営者が頼りにしている税理士であれば一定の信頼を置くことができ、安心して任せられる材料の1つになるでしょう。
知人や取引先からの紹介は昔からある方法ですが、紹介してもらった税理士と相性が合わず、別の税理士に変更したくなってしまった場合に気軽に変更することができないというデメリットもありますので、その点は注意する必要があります。
まとめ
顧問税理士は会社経営のパートナーとして重要な存在になります。
「物理的に距離が近いこと」はメリットの1つになりますが、距離に拘りすぎると選択肢が狭まり、相性の良い税理士とマッチしないおそれがあります。
顧問税理士を選ぶ場合は、距離の近さもポイントですが、それ以上に「親身に対応してもらえる税理士かどうか」「信頼できる税理士であるかどうか」「自社の業種に詳しいかどうか」などの項目を重視して検討しましょう。
Star Member(スタメン)公認会計士・税理士事務所は、距離が近い、遠いに関わらずお客様の「企業価値の最大化」を全力でサポートしております。
クラウド会計や各種オンラインなどのデジタルツールも活用し、全てのお客様に安心していただけるサービスをご提供いたしますので、顧問税理士をお探しの際は、ぜひお気軽にお問い合わせください。