税務・会計

公開日:2025/7/1

税理士のセカンドオピニオンとは?依頼するメリットや料金相場について解説!

この記事の監修
山田俊輔

StarMember公認会計士・税理士事務所
代表 山田俊輔(公認会計士・税理士・経営心理士)

あずさ監査法人にて、東証一部上場企業の会計監査、上場準備会社の監査、会社買収時のデューデリジェンス業務等を担当。
2010年に独立開業し、Star Member (スタメン)公認会計士・税理士事務所と株式会社日本会計サービスを立ち上げ、連結売上1,000億円超の社外取締役や売上数百億円~数億円の会社の取締役、監査役などを務める。2017年には野村證券なんば支店アドバイザリーボードメンバーにも選任。

医療現場において、主治医の診断の後に別の医師に意見を求めることを「セカンドオピニオン」と言い、患者自身が病気や治療への理解を深めて最善の治療方法を選択することができます。

セカンドオピニオンという発想は医療現場だけでなく、様々な専門サービス業においても最善の選択肢を決めるために有効な方法であり、税理士のサービスについても例外ではありません。

税理士のセカンドオピニオンを上手く活用することで、経営や事業展開、節税に関する判断の裏付けを行えるほか、複数の税理士の意見を聞くことで経営者自身の見識を広げることもできるでしょう。

ここでは「税理士のセカンドオピニオン」について、メリットや料金相場を含めて解説します。

税理士のセカンドオピニオンとは

顧問税理士以外の税理士へ税務や会社経営のことを相談し、別の意見を求めることを「税理士のセカンドオピニオン」と言います。

一口に税理士と言っても、得意とする分野やこれまでの経験、方向性などの違いがあり、1つの課題に全員が同じ答えを持っているとは限りません。

 

例えば「会社の事業承継について税理士に相談したが納得できる提案を得られなかった」といった場合には税理士のセカンドオピニオンが効果的です。

事業承継は幅広い知識や経験がなければ対応することが難しく、税理士の中でも高い専門性が要求される分野です。

セカンドオピニオンとして事業承継に強い税理士に意見を聞き、様々な角度から検討することができます。

セカンドオピニオンの内容が前の税理士と同じであっても、複数の税理士から説明を受けることで、より深く理解することができるでしょう。

税理士のセカンドオピニオンを依頼するメリット

今の顧問税理士に不満がある場合であっても、すぐに税理士を変更することが得策であるとは限りません。

変更する前にセカンドオピニオンを行ってみましょう。税理士のセカンドオピニオンには次のようなメリットがあります。

2-1.新しい節税対策の提案をしてもらえる可能性がある

顧問税理士ではない税理士にセカンドオピニオンを依頼することでこれまで気付いていなかった、または見過ごされていた節税対策が見つかることもあるでしょう。

節税対策が見過ごされる背景には、度重なる税制改正やルールの変更による税理士への負担があげられます。

税制は経済社会の変化に対応するために毎年改正が行われ、全ての税目についての改正を最新のものにアップデートし、その知識を実務の中に落とし込んでいくことは簡単なことではありません。

特に小規模の税理士事務所の場合、税理士ひとりで把握できる情報には限界があるため、セカンドオピニオンを活用して複数の税理士に会社の状況を見てもらうことにより、新しい節税対策の提案をしてもらえる可能性があります。

2-2.税務リスクの軽減に繋がる

セカンドオピニオンを通じて、会社の税務処理や申告書の内容に潜在的なリスクがないかどうかを確認してもらうことは、税務リスクの軽減に繋がります。

もし、セカンドオピニオンで税務リスクが見つかった場合には、そのリスクに対応する予防策や対応策を事前に準備することにより税務調査へのリスクに備えることができます。

2-3.現在の税理士との関係の見直し・改善のきっかけになる

税理士のセカンドオピニオンは、現在の顧問税理士を変えることではありません。

顧問税理士とは顧問契約を続け、良好な関係を保ちながら他の税理士の意見を取り入れつつ、より適切な判断を行うことを目的としたものです。

もし、顧問税理士からの具体的な提案がなく、不満を持っている場合は、セカンドオピニオンにより提案をもらえることで不満が解消することもあるでしょう。

また、セカンドオピニオンにより顧問税理士に抱いている不満が明確になり、税理士変更に繋がる場合もあります。

セカンドオピニオンは今の顧問税理士との関係の見直し、改善のきっかけとしても効果的です。

2-4.経営のアドバイスやより専門的なアドバイスを受けることができる可能性がある

税理士は税務の専門家ですが、現代社会では、税務だけでなくコンサルティング業務についても求められています。

経営上の課題解決へのアドバイスから経営改善への支援、最新のICT(情報通信技術)を活用した業務改革のフォローなど、税務以外の観点からのコンサルティングを行う税理士も増加しています。

 

税理士のセカンドオピニオンでは、経営の分野やICTの分野などに強い税理士の意見を聞くことで税務以外についても見直しを行える可能性もあります。

セカンドオピニオンを活用することで、経営や業務改革に強い税理士に相談することでより専門的なアドバイスを受けることができるでしょう。

また、融資に強い税理士や事業承継に強い税理士、相続に強い税理士など、税理士の中でも専門分野の細分化が行われていますので、自社に必要なタイミングで必要なアドバイスを受けるセカンドオピニオンは強い味方になります。

税理士のセカンドオピニオンを依頼するメデリット・注意点

税理士のセカンドオピニオンには、たくさんのメリットがありますが、メデリットや注意点もあります。

3-1.コストが増える

顧問税理士に毎月の顧問料を支払うように、セカンドオピニオンを正式に依頼した場合にはセカンドオピニオンの税理士に相談料や顧問料が発生します。

費用面で考えると、顧問税理士とセカンドオピニオンの税理士の2人分の費用が発生することになるため、費用対効果を十分に得られるかどうかの検討が必要です。

「税務だけでなく、経営面でのサポートを受けてみたい」「自社でできる節税対策がないか知りたい」「事業承継や相続に備えたい」など、セカンドオピニオンを行う具体的な目的がない場合はコストに見合うだけの効果を得ることが難しくなりますので、明確な目的を持ってセカンドオピニオンを活用することをおすすめします。

3-2.慎重な税理士選びが重要になる

セカンドオピニオンで一番重要なことは「どの税理士を選ぶか」です。税理士は十人十色、詳しい業界や専門知識、これまでの経験によって対応できる範囲が違います。

自社の目的に精通しており、課題を一緒に解決してくれる税理士を選ぶようにしましょう。

 

また、知識や経験以外にも、コミュニケーションの取りやすさや信頼できるかどうかなど、セカンドオピニオンの税理士として選ぶべき税理士であるかどうかを検討し、最大の効果が得られるようにしましょう。

税理士のセカンドオピニオンを検討すべきタイミング

税理士のセカンドオピニオンは、顧問税理士への顧問料にプラスしてセカンドオピニオンを依頼する税理士の相談料や顧問料が発生するため、効果的な成果をあげるためにはセカンドオピニオンを行うタイミングが非常に重要です。

税理士のセカンドオピニオンを検討すべきタイミングについて見ていきましょう。

4-1.現在の税理士の申告に不安がある・対応に不満がある

現在の税理士の申告に不安がある・対応に不満がある場合は、すぐ税理士を変更するのではなく、セカンドオピニオンで他の税理士の意見を聞きながら、このまま顧問契約を続けていくのか、それとも税理士を変更したほうがいいのかを検討することも1つの方法です。

顧問税理士からの税務に関する提案に疑問や不満を抱くことは珍しいことではありません。

中には、顧問税理士の対応に納得いかない方もいると思います。

しかし、感情に流されずに、顧問契約を打ち切る判断をする前に今後とのことを冷静に考え、セカンドオピニオンを検討してみましょう。

 

税理士を変更するという結論に至った場合には、税理士の断り方について「税理士変更の断り方は?断る際の伝え方や文章についても解説!」で紹介しています。 

4-2.専門性の高い税務や税務上の影響が大きい意思決定が発生した

税理士が取り扱う分野でも、特に専門性が高く、税務上の影響が大きい意思決定が必要になる分野に「事業承継」があります。

事業承継は、税法のほか民法、会社法などを含めた幅広い知識が要求され、生前対策などの相続税・贈与税にも関連する複雑なものとなっています。

税理士が日常的に取り扱う所得税や法人税とは異なるフィールドであるため、経験があまりない税理士も少なくありません。

 

贈与や相続が絡む事業承継に関する相談は、贈与税や相続税に精通した税理士にセカンドオピニオンを依頼する方が安心して任せることができます。

「顧問税理士に事業承継を相談したけど不安がある」といった場合には活用してみましょう。

4-3.税務調査を控えている

税務署からの税務調査では、経営者や経理担当者の他に税理士が立ち会うことでリスクが軽減される場合が多くあります。

しかし、税理士が立ち会っていても調査官の指摘に税理士が反論してくれなければ、税務調査を適切に乗り越えることができません。

 

もし、顧問税理士の税務調査の立ち会いに不安を感じる場合は、別の税理士にセカンドオピニオンを依頼してみるといいでしょう。

税務調査への適切な対処方法や主張できるポイントなどのアドバイスをもらうことができ、結果的に追徴税額を減らせる可能性があります。

4-4.今の税理士とのコミュニケーションに課題がある

「顧問税理士に相談したいがなかなか連絡が取れない」「ITツールの導入がなく、電話と郵送のやりとりで時間がかかる」など、今の税理士とのコミュニケーションに課題がある場合は、税理士の変更を検討するタイミングです。

税理士を変更する際は、いきなり変更するのではなく、セカンドオピニオンを活用しながら他の税理士とのコミュニケーションはどのようなものなのかを確認するといいでしょう。

4-5.顧問料が費用対効果に見合っているか疑問がある

税理士の顧問料には具体的なルールがなく「サービスの割には顧問料が高い」「一般的なサービスを受ける場合の顧問料の相場はどれくらいだろう」と思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

今払っている顧問料が費用対効果に見合っているか疑問がある場合には、セカンドオピニオンを通じて同様のサービスを依頼してみると顧問料の費用対効果がはっきりします。

税理士のセカンドオピニオンのサービス内容と費用相場

5-1.サービス内容

税理士のセカンドオピニオンのサービス内容と費用相場は税理士によって様々です。

一般的な業務内容を見ていきましょう。

【税務会計のセカンドオピニオン】

  • 税務申告書のチェック
  • 税務相談
  • 節税の提案
  • 顧問税理士からの提案内容の検討
  • 経営や業務効率に関する提案

 

【事業承継のセカンドオピニオン】

  • 相続対策の提案、準備
  • 株価対策
  • 株式の移転対策
  • 顧問税理士から提案された事業承継プランの是非の検討

5-2.費用相場

セカンドオピニオンの費用については、依頼する内容の難易度や期間、会社の規模などにより異なります。

また、スポットの相談なのか、それとも継続的な依頼になるのかによっても変わってきます。

税理士が費用を自由に設定できるため、まずは概要を相談してみてどれくらいかかるのかを確認してみるといいでしょう。

一般的には、毎月の訪問を行う場合は月額510万円程度に設定している場合が多いようです。

 

セカンドオピニオンを実施している税理士事務所の中には、初回無料で相談を受け付けているところもありますので活用してみましょう。

セカンドオピニオンを依頼することを現在の税理士に伝えるべき?

セカンドオピニオンを依頼することを今の顧問税理士に伝えるかどうかは悩ましい問題だと思います。

無用なトラブルを避けるためにも正直に伝えるべきだという意見もあれば、顧問税理士のプライドを傷付けてしまうため打ち明けないほうが良いという意見もあり、一様にどちらが正しいという判断はできません。

これまでの顧問税理士との付き合い方や税理士の性格などを考慮したうえで判断するといいでしょう。

ただし、打ち明けない場合には、セカンドオピニオンの費用の支払い仕訳により発覚してしまうケースもありますので頭の片隅に入れておきましょう。

まとめ

税理士のセカンドオピニオンは、目的を明確にし、ベストなタイミングで目的に精通した税理士を選ぶことで高い効果を得ることができる方法です。

その一方で、税理士選びに失敗してしまうと効果を得ることができず、費用だけが発生してしまいますので、慎重な検討が必要です。

Star Member(スタメン)公認会計士・税理士事務所は、密なコミュニケーション・迅速なレスポンス、IT分野や資金調達に強い事務所です。

セカンドオピニオンにも対応しており、専門的な観点からベストな方法をご提案させていただきます。

セカンドオピニオンを検討中の際は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

 

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