更新日:2025.10.2
公開日:2025/7/15
税理士変更時の引き継ぎに必要な書類やスムーズに引き継ぐためのポイントを徹底解説!
税理士法人オンデック
代表 山田俊輔(公認会計士・税理士・経営心理士)
あずさ監査法人にて、東証一部上場企業の会計監査、上場準備会社の監査、会社買収時のデューデリジェンス業務等を担当。
2010年に独立開業し、税理士法人オンデック公認会計士・税理士事務所と株式会社日本会計サービスを立ち上げ、連結売上1,000億円超の社外取締役や売上数百億円~数億円の会社の取締役、監査役などを務める。2017年には野村證券なんば支店アドバイザリーボードメンバーにも選任。
事業を拡大していくうえで「顧問税理士を変更したい」という場面は珍しいことではありません。
しかし、税理士の変更は引き継ぎを適正に行わなければ変更後に不都合が生じたり、ミスが発生したり、何かしらの問題が起きる可能性があるため、慎重かつスムーズな引き継ぎが求められます。
ここでは「税理士変更時の引き継ぎに必要な書類やスムーズに引き継ぐためのポイント」について詳しく解説します。
「税理士を変えたいけど、引き継ぎが不安で一歩踏み出せない…」
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- 税理士変更時の引き継ぎが重要な理由
- 税理士変更の引継ぎに必要なデータや書類
- 2-1.会計ソフトのデータ
- 2-2.決算書、法人税申告書
- 2-3.固定資産台帳、償却資産税の申告書
- 2-4.給与関係の資料
- 2-5.総勘定元帳
- 2-6.税務署・都道府県・市町村への届出書類
- 2-7.電子申告に関する利用者識別番号等、暗証番号
- 税理士変更時の引き継ぎの流れ
- スムーズに引き継ぐためのポイント
- 税理士変更の引き継ぎに関するよくある質問と回答
- 5-1.Q.現税理士が引き継ぎに非協力的だった場合どうすれば良いですか?
- 5-2.Q.税理士に預けていた領収書や請求書は返却してもらえますか?
- 5-3.Q.旧税理士が資料を渡してくれない場合はどうすればよいですか?
- 5-4.Q.新しい税理士が見つかるまで、空白期間があっても大丈夫ですか?
- まとめ
税理士変更時の引き継ぎが重要な理由
顧問税理士の事務所には、会社のこれまでの財務資料や提出した申告書のコピー、これまで提出した届出書や検討した内容など、会社にとって重要な書類が保管されていることが殆どです。
基本的には、会社も同様の資料を税理士から受け取っており、会社内に保管されていると思いますが経理担当者が書類の存在に気が付いていないこともあります。
税理士変更時にこれらの財務資料や届出書のデータなどが不足している場合、新しく顧問になった税理士ではこれまでの税務処理やその経緯、届出状況が分からないため適正な税務処理や経営アドバイスが行えなくなる可能性があります。
特に決算が近い時期に税理士変更を行った場合、引き継ぎに十分な時間を取ることができず、不完全な税務申告になってしまい、税務リスクが高まるおそれがあるため、適正な引き継ぎが非常に重要です。
税理士変更の引継ぎに必要なデータや書類
税理士を変更する場合「前の税理士と新しい税理士が直接やり取りしてくれるのではないか」と考える方もいるかもしれませんが、実際には税理士同士の直接のやり取りは個人情報の保護・税理士の守秘義務の観点からも行われることは稀であり、基本的には会社が「会計データや引き継ぎ資料」を準備し、新しい税理士へ提供する必要があります。
税理士変更の引継ぎに必要なデータや書類には次のようなものがあります。
【税理士変更の引継ぎに必要なデータや書類】
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2-1.会計ソフトのデータ
日々の仕訳や毎月の試算表の作成などは会計ソフトで行うことが一般的です。
税理士を変更する場合には、前の税理士が使用していた会計ソフトのデータを新しい税理士へ引き継ぐことが重要になります。
会計ソフトのデータには、これまでの取引の記録や経理処理方法などのデータが蓄積されているため、新しい税理士が適正な処理を行ううえで大切な判断材料になります。
新しい税理士が前の税理士が使用していた会計ソフトに対応していれば、データの移行は簡単に行うことができるため、新しい税理士がどの会計ソフトに対応しているのかを確認しておきましょう。
同じ会計ソフトに対応していない場合であっても、CSVファイルでエクスポートしたデータを別の会計ソフトでインポートできる場合もありますので、その点についても確認しましょう。
2-1-1.前の顧問税理士が会計データの引継ぎを拒否する場合もある
税理士にとって税理士が記帳を行った会計データは、その税理士が培ってきた入力方法やノウハウが詰まっている大切なものです。
過去には、裁判所によって「会計データの著作権はデータを作成した税理士にある(東京地裁平成25年9月6日判決)」との判断が下されたこともあるため、記帳データの引き継ぎを拒否される可能性も考えられます。
2-1-2.クラウド会計であれば権限の付与だけでスムーズに引き継ぎが可能
クラウド会計を使用している場合は、新しい税理士に「管理者」や「閲覧者」など、共有権限の付与を行うだけでデータのやり取りを行わずにスムーズな引き継ぎが可能です。
2-2.決算書、法人税申告書
会社の決算書(貸借対照表・損益計算書)、法人税申告書、勘定科目内訳書など、税務申告で提出した書類を準備しましょう。
引き継ぎ後に税務調査が行われた場合には、過去3期分の資料が必要となるため、最低でも3期分の資料の提出が必要です。
決算書をはじめ、法人税申告書にはこれから税務申告を行ううえで大切になる情報が散りばめられているため、最低限の3期分だけでなく、できれば7期分の資料を準備するといいでしょう。
2-3.固定資産台帳、償却資産税の申告書
固定資産台帳とは、会社が保有する固定資産(土地、建物、機械装置など)の取得から減価償却の状況、廃棄(除却)までを個別に管理する帳簿のことを言います。
会社の資産の状況を管理し、減価償却費を計上するために必ず必要になります。
その他、償却資産税の申告書の控えも用意しておきましょう。
償却資産税の申告書とは、地方自治体が固定資産税の計算を適正に行えるように会社が提出する申告書のことです。
どの償却資産が申告してあるかを明らかにするためにも引き継ぎ資料として準備しましょう。
2-4.給与関係の資料
従業員を雇用している場合は、給与関係の書類についても準備しておくとスムーズに引き継ぎを行うことができます。
給与関係の書類には「源泉徴収簿」「給与支払報告書」「社会保険関係の届出控え」などがあり、給与の支払いの確認や社会保険料の計上、年末調整の処理などに必要になります。
2-5.総勘定元帳
過去の会計ソフトのデータの引き継ぎができない場合は、過去の総勘定元帳の提出が必要です。
総勘定元帳には、日々の会計処理から決算処理まで詳細に記録されており、新しい税理士が適切な会計処理をするうえで必要になります。
会計ソフトのデータの引き継ぎができている場合は、過去のデータをソフト上で確認することができるため重要性は少なくなりますが、少なくとも過去1期分は用意しておくといいでしょう。
2-6.税務署・都道府県・市町村への届出書類
税務署や都道府県、市町村へ過去に提出した届出書類の控えを準備しましょう。
特に過去に税務署に提出した届出書には重要なもの(消費税関係の届出など)が多いため、漏れがないようにしましょう。
2-7.電子申告に関する利用者識別番号等、暗証番号
前の税理士で電子申告により申告書の提出を行っている場合は、前の税理士から利用者識別番号(利用者ID)や暗証番号を返却してもらい、その情報を新たな税理士に引き継ぐ必要があります。
電子申告に関する情報の引き継ぎができていないと新しい税理士が過去の申告の状況を確認することができず、電子申告による申告書の提出も行うことができません。
電子申告に関する情報の引き継ぎは忘れやすい項目であり、後々トラブルになるケースも多い項目ですので、しっかりとチェックしましょう。
「必要な書類の多さに、少し気が遠くなった…」
そう感じた方もいらっしゃるかもしれません。ご安心ください。
私たちは、単に税理士として顧問契約を結ぶだけでなく、「引き継ぎのプロフェッショナル」として、あなたの負担を最小限に抑えます。
必要な書類のチェックリスト作成から、円満な引き継ぎの進め方まで、私たちが伴走します。
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税理士変更時の引き継ぎの流れ
税理士変更時の引き継ぎの流れは、次の3ステップが基本になります。
3-1.①契約内容の確認
新しい税理士と顧問契約を結ぶ前に契約内容の確認を行いましょう。
「契約に記帳代行は含まれるのか」「税務相談の無料サポートはあるのか」「どれくらいの頻度で会社に訪問してもらえるのか」など、サービス内容の確認のほか、決算の費用や消費税申告の費用、年末調整を依頼する場合の費用など、追加で生じる費用に関しても契約を結ぶ前に明確にすることがトラブルを回避するために重要です。
3-2.②必要書類の準備
前述した「税理士変更の引継ぎに必要なデータや書類」の準備を行いましょう。
顧問契約する税理士から「追加で〇〇の資料がほしい」と言われる場合もありますので、税理士から何の資料が必要になるのかをチェックリスト形式で作成してもらえるように依頼するとスムーズに進みます。
3-3.③現税理士へ断りの連絡を入れる
必要書類の準備と並行して、現在顧問契約をしている税理士へ顧問契約解消の連絡を行い、預けておいた資料やデータなどの返却を依頼しましょう。
税理士変更の断り方は「税理士変更の断り方は?断る際の伝え方や文章についても解説!」をご覧ください。
スムーズに引き継ぐためのポイント
税理士を変更する場合には、顧問税理士がいない期間を作らずに変更することが重要です。
スムーズに引き継ぐためには、次のポイントを意識して進めましょう。
4-1.必要書類は事前にチェックリストを作成しておく
新しい税理士のために準備する資料は想像以上に多く、準備するだけでも大変です。
どんな資料が必要なのかについて事前にチェックリストを作り、該当する書類を計画的に集めていくと漏れなく準備することができます。
新しい税理士とコンタクトが取れる状況であれば、新しい税理士に必要なチェックリストを作ってもらっておくと引き継ぎ後の手続きがスムーズに進みます。
4-2.現税理士へはなるべく早く引き継ぎについて連絡しておく
現在の顧問税理士へはなるべく早く他の税理士に変更する旨を伝え、引き継ぎの際の資料提供をお願いするかもしれないことを話しておきましょう。
自社で全ての必要書類が準備できるのであれば問題ありませんが、資料がない場合は現在の税理士と顧問契約があるうちに受け取る必要があります。
もし、現段階では正直に伝えることが難しいという状況であれば「社内の資料整理のため〇〇の資料がほしい」と伝えたほうが良い場合もあります。
4-3.税理士の繁忙期は避ける
現税理士に準備してもらう資料が多い場合には、なるべく税理士の繁忙期は避けたほうがいいでしょう。
税理士の繁忙期は個人の確定申告時期である2月~3月、3月決算法人の申告時期である5月、年末調整で忙しい12月となっていますので、この時期は避けたほうが無難です。
4-4.決算月から余裕を持った時期に税理士変更を行う
税理士の変更は、引き継ぎなどに時間がかかるため、なるべく自社の決算月から余裕を持ったタイミングで行うようにしましょう。
決算前のギリギリのタイミングで税理士を変更すると、新しい税理士が会社の経理の流れや税務処理を完全に理解しないまま申告しなければならない
状況になってしまうおそれもあるため、リスクを回避するためにも余裕を持ったタイミングで行うことをおすすめします。
税理士変更の引き継ぎに関するよくある質問と回答
税理士変更の引き継ぎに関するよくある質問と回答をいくつかご紹介します。
5-1.Q.現税理士が引き継ぎに非協力的だった場合どうすれば良いですか?
A.現税理士が引き継ぎに協力的でない場合、まずは新しい税理士にその旨を伝え、どのように対応すればいいのかについてアドバイスをもらうといいでしょう。現税理士が、契約解除を拒否した場合は、その税理士が所属する税理士会に相談しましょう。
5-2.Q.税理士に預けていた領収書や請求書は返却してもらえますか?
A.税理士には、領収書や請求書をはじめ、預かっている書類すべてを会社に返却する義務がありますので、返却してもらえます。
5-3.Q.旧税理士が資料を渡してくれない場合はどうすればよいですか?
A.自社でできる限りの書類を準備し、どうしても用意できない書類については書面で用意してもらえるように依頼してみましょう。もし、書類の返却がなされずに契約解除の話し合いも難しいという場合は「地域の税理士会」に相談してみましょう。
5-4.Q.新しい税理士が見つかるまで、空白期間があっても大丈夫ですか?
A.税理士がいない空白期間があっても法的には何ら問題はありません。しかし、顧問税理士のいない空白期間があると、その間に行わなければならない税務申告ができずに税務上のリスクを抱えてしまうおそれがあります。なるべく空白期間ができないように引き継ぎの調整を行いましょう。
まとめ
税理士変更時の引き継ぎは事前の準備が非常に重要です。
現税理士との顧問契約があるうちから必要な資料のチェックリストを作成し、スムーズに新しい税理士に引き継ぎが行われるように計画を立てましょう。
税理士法人オンデックは、税理士変更についてのお悩みについても対応しております。
「顧問税理士を変更したい」という場合には、お気軽にご相談ください。
必要書類や税理士変更までの手順などについて詳しくお話させていただきます。