更新日:2024.07.17
公開日:2024/7/16
保険による節税が出来なくなった今でもできる節税金額の大きい節税策
StarMember公認会計士・税理士事務所
代表 山田俊輔(公認会計士・税理士・経営心理士)
あずさ監査法人にて、東証一部上場企業の会計監査、上場準備会社の監査、会社買収時のデューデリジェンス業務等を担当。
2010年に独立開業し、Star Member (スタメン)公認会計士・税理士事務所と株式会社日本会計サービスを立ち上げ、連結売上1,000億円超の社外取締役や売上数百億円~数億円の会社の取締役、監査役などを務める。2017年には野村證券なんば支店アドバイザリーボードメンバーにも選任。
「中小企業の成長」と「そこで働く人の成長」を支援する会計事務所所長の山田俊輔です。
「日本中の中小企業を元気にし、100年企業を創る」という使命と持ち、「中小企業の成長」と「そこで働く人の成長」を支援して日本を活性化させたいという企業理念で、大阪の本町で、Star Member (スタメン) 公認会計士・税理士事務所と株式会社日本会計サービスを経営しております。
今日は、「保険による節税が出来なくなった今でもできる節税金額の大きい節税策」について説明してみたいと思います。
節税保険販売の中止
2019年2月、いわゆる節税保険の販売が中止され、比較的手軽に多額の節税ができる手段がなくなりました。
保険による多額の節税が手軽に出来なくなった今でもできる節税金額の大きい節税額がほかにもないのかという質問を沢山頂いていますので、その中でも金額が大きく節税できる「オペレーティングリース節税」「経営セーフティ共済」「取引信用保険」「福利厚生費扱いとなる保険」についてお話をしていきます。
オペレーティングリース節税とは
オペレーティングリース節税とは、飛行機やコンテナなどの商品を自社で購入するなどして航空会社やコンテナ事業者にリースすることで出てくる事業の損益を取り込んだ節税を言います。
飛行機などを自社で購入するパターンと、購入する匿名組合という法人に出資するパターンの2つがあります。
どちらのパターンにしても、そのリース事業の損益を自社に組み込めるというところがポイントです。
このリース事業は事業の1年目に大きな損失が出て、最終年度に大きな収入があるというのが特徴で、いわゆる利益の繰延による節税となります。
1年目に大きな損失がでる理由は、商品の減価償却費が1年目に多額に出ることにあります。
また、最終年度に大きな収入がある理由は、商品を売却するためです。
節税保険があった時もオペレーティングリースが節税として使用されるケースがよくありましたが、節税保険と違って支払いが初年度の1回のみで節税したい1年目の期に大きな損金が取れるというメリットがあります。
節税保険は契約期間にわたって毎年保険料の支払いが必要で毎年その時の損金になるというものだったので、場合によっては使い勝手が悪かったのでこのオペレーティングリース節税が重宝されるケースがありますし、今もよく使われています。
次に、代表的な商品の特徴について説明します。
代表的な商品①飛行機
オペレーティングリース節税で一番代表的なものとして飛行機リースがあります。
特徴としては、航空機業界が比較的安定しているのでリース事業のリスクが比較的低いという点です。
ただし、リース事業の期間が長いことと、為替リスクがあるものが一般的であること、飛行機の売却時に想定より値段がつかなくて損するというリスクなどがあるので、他の商品と比較検討しながら実行するか検討する必要があります。
代表的な商品②コンテナ
続いてコンテナリースですが、投資する金額が比較的低価額でできるのでお手軽性があるという特徴があります。
また、リース事業の期間が短いということと、中古売却市場が安定しているという特徴もあります。
代表的な商品③その他
そのほか、船やトラックや建築足場などを用いたリースもあります。
それぞれ、飛行機やコンテナを使用したリースで実現出来なかった為替リスクの問題を回避したり、リース期間を短くしたりなど商品によって様々なメリットを付した商品が多数出ていますが、会社の事業に合わせて比較検討する必要があります。
基本的にこのオペレーティングリース節税は
- 中途解約できない
- 投資元本が全て回収できるとは限らない(ただし大幅に儲けることもある)
- 本業でないのでよくわからない
などの注意点があるので、そのあたりをきちんと把握して実行するか検討してください。
経営セーフティ共済とは
正式名称は「中小企業倒産防止共済制度」です。
経営セーフティ共済とは取引先が倒産するなどして売掛金などが回収出来なくなったときに掛け金の10倍までを無担保無保証人で借入することができる共済です。
中小企業や個人事業主のみに加入資格があります。
月々の掛け金が5000円から20万円で合計800万まで積立することが出来ます。
この共済は解約する時に要件を満たせば積立した全額が返金されるので本来は経費とならずに資産計上が原則ですが、国の施策として、全額経費とすることが認められています。
倒産を防止するという守りの役割を果たしながら節税が出来ますので、多くの中小企業が加入しています。
取引信用保険とは
経営セーフティ共済は取引先が倒産した時に借入することができる制度でしたが、借入なので返済する義務を負います。
このデメリットを補うものに民間の損害保険会社が取り扱っている取引信用保険というものがあります。
この取引信用保険は、取引先が倒産した時に保険金として保証してくれる保険商品です。
保険金なので返済する必要がありません。
取引先と取引をする場合の与信も保険会社が行ってくれるので、無料で良質な与信機能も兼ねてくれます。
保険が1年更新なので、支払った保険料は全額経費となります。
福利厚生費扱いとなる保険
従業員の退職金や医療費負担軽減など福利厚生を目的として法人が加入する保険も節税になります。
この保険の目的は従業員さんの福利厚生を主目的としてますので、従業員満足度もあがって長く会社で勤めてもらえるようになるという点でも優れています。
従業員さんが安心して長く働いてくれることで会社の運営が安定します。
その目的を果たしつつ、支払った保険料の全額もしくは半額が経費となりますので、一石二鳥です。
民間の保険会社が取り扱っていますので、会社の状況にあった商品を取捨選択する必要があります。
まとめ
今回は、手軽に多額の節税ができた節税保険に変わる節税手段についてお話しました。
これらは節税保険と比べると手軽性は劣りますが、この年度に出た利益を落としたいなどのニーズに応えられる商品など自社の状況に照らした場合にメリットがあるものも存在しています。
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