税務・会計

公開日:2025/12/16

税理士解約で「違約金」は払う必要がある?税理士変更時のよくあるトラブルと回避術

この記事の監修
山田俊輔

税理士法人オンデック
代表 山田俊輔(公認会計士・税理士・経営心理士)

あずさ監査法人にて、東証一部上場企業の会計監査、上場準備会社の監査、会社買収時のデューデリジェンス業務等を担当。
2010年に独立開業し、税理士法人オンデック公認会計士・税理士事務所と株式会社日本会計サービスを立ち上げ、連結売上1,000億円超の社外取締役や売上数百億円~数億円の会社の取締役、監査役などを務める。2017年には野村證券なんば支店アドバイザリーボードメンバーにも選任。

長年サポートしてくれた顧問税理士に解約を申し出ることは非常に心苦しいものだと思います。

契約解除の際には「税理士との関係が悪化し、違約金を請求されたり、業務の引き継ぎでトラブルになったりしないだろうか」といった不安を抱える方もいるのではないでしょうか。

しかし、顧問税理士を変更することは、今後の経営を支えるために必要な「経営判断」であり、決して後ろめたいことではありません。

ここでは、税理士の解約で後悔しないために「税理士変更時によくある具体的なトラブル事例とトラブルを回避する方法」について詳しく解説します。

税理士変更でよくある3つのトラブル事例

税理士変更に関するトラブルは、契約内容の確認不足、事前の準備不足、そして感情的な対立から発生します。

ここでは、税理士変更時に直面しやすい3つのトラブル事例を紹介します。

1-1.解約時に「違約金」や「残りの顧問料」を請求される

税理士との顧問契約には、契約書に違約金に関する条項が盛り込まれていることがあります。

税理士との契約は一般的に「委任契約」であり、依頼者はいつでも契約を解除できる権利がありますが、契約書に期間内解約に関する違約金の定めがある場合については、その条項に基づいて違約金の支払い義務が生じる可能性があります。

税理士変更を検討する際には、自分で顧問契約書を隅々まで確認し、不利になる条件がないかを事前に把握しておくことが予期せぬトラブルを回避するうえで非常に重要です。

1-2.重要資料(総勘定元帳など)を返してくれない

顧問契約の解約を申し出た後、税理士との関係が悪化してしまい、預けていた総勘定元帳、決算書、確定申告書などの重要資料の返却がなかなか行われないトラブルも珍しくありません。

これらの資料は経営判断するうえで重要な資料であり、次の税理士への引き継ぎに必ず必要になります。

こういったトラブルを回避するためには、日頃から何の資料を税理士に預けているのかを明確にしておき、解約の際には書面で返却リストを渡すなどの工夫を行うといいでしょう。

もし、書類の返却を拒否された場合には、1人で抱え込まずに次の税理士のサポートを得るか、地域の税理士会に相談することが解決の糸口に繋がります。

1-3.次の税理士への「データ引き継ぎ」を拒否される

近年増加しているトラブルとして、紙の書類は返却されたものの、新しい税理士への「データ引き継ぎ」を拒否される、または電子データが使えない形式で渡されるという問題があります。

会計業務のIT化が進む現代において、電子データの引き継ぎは税理士変更では非常に重要な役割を果たします。

会計データは当然ながら、e-TaxやeL-Taxなどの電子申告システムの登録情報の引き継ぎが行われなければ、税理士変更後も税務署からの重要な連絡や通知が前任の税理士に届き続けてしまうトラブルが発生してしまいます。

データ引き継ぎでのトラブルを回避するためには、新しい税理士に必要な会計データのフォーマットの確認と解約時に速やかに自社または新しい税理士がe-Tax情報を管理できる手続きを行うようにしましょう。

税理士解約時の「違約金」は本当に支払う必要があるのか?

税理士変更の際に違約金の支払いを求められると「本当に支払う必要があるのか」と疑問に感じてしまうかもしれません。

ここでは、税理士解約に関する法的な根拠と違約金を巡る契約上の注意点について解説します。

2-1.税理士との契約(委任契約)はいつでも解除できる

税理士との顧問契約は、一般的に「委任契約」として位置づけられます。

委任契約とは、当事者の一方(委任者=事業主)が、相手方(受任者=税理士)に事務の処理を委託する契約です。

日本の法律では「委任は、各当事者がいつでも解除することができる」と定められており、税理士との契約は事業主側の判断でいつでも解除可能です。

2-2.要注意!契約書の「解約予告期間」と「自動更新」

事業主はいつでも顧問税理士を解約することができますが、違約金請求や不要な顧問料の支払いを回避するためには、顧問契約書に記載された条項に細心の注意を払うことが大切です。

2-2-1.解約予告期間の厳守

顧問契約書には「解約の意思表示は、契約期間満了の○か月前までに書面をもって申し出るものとする」といった「解約予告期間」に関する条項が定められています。

これは、税理士側が顧問先の業務調整や新たな顧客を受け入れるための準備期間を確保するための条項です。

この予告期間を無視して解約を申し出た場合、契約期間満了までの残りの顧問料、または契約書に定められた違約金の支払いを求められる可能性があります。

契約書は双方の合意に基づく法的な約束事であるため、まずはそのルールを正確に理解し、それに則って解約を進めることがトラブル回避のために必要不可欠です。

2-2-2.自動更新条項のリスク

顧問契約で意外と見落としがちなのが「自動更新」に関する条項です。

具体的には「本契約期間終了の○か月前までに、双方に意思表示がない場合、自動的に継続する」といった内容の条項です。

この条項により解約通知期限が過ぎてしまうと、意図せず次期契約が自動的に更新されてしまい、税理士解約がさらに難しくなったり、次期契約期間分の全額を請求されたりするリスクが発生します。

2-3.高額な違約金請求への対処法

顧問契約の解除時に高額な違約金を請求された場合「支払わなければならないのだろうか」と途方に暮れてしまうかもしれません。

しかし、不当な請求に対しては、冷静に対処することが重要です。

まずは、請求された違約金が顧問契約書の内容と一致しているかを確認し、その金額が適正な範囲(月額顧問料の数か月分など)を超えていないかの判断を行いましょう。

過度に高い違約金である場合は、法的に無効と判断される可能性もあります。

自分で交渉が難しい場合には、地域の税理士会への相談や弁護士への相談が効果的です。

高額な違約金を請求された場合は、1人で悩まずに専門機関のサポートに頼ることも視野に入れて行動しましょう。

円満解約するためのトラブル回避術

税理士変更の際にトラブルを避け、円滑に業務を引き継ぐためには、解約の「伝え方」と「タイミング」が大切です。

3-1.【例文あり】角が立たない「建前」の理由を用意する

円満な税理士解約を目指す上で最も重要なコツは、不満や批判を直接伝えず「会社の未来」や「やむを得ない事情」を主語にした前向きな理由を伝えることです。

これにより、相手の税理士も解約を受け入れやすくなり、協力的な姿勢を引き出しやすくなります。

【円満解約のための理由と例文】

理由:事業の成長に伴う専門性強化を建前にした例文
例文:長年お世話になりましたが、弊社の事業規模拡大に伴い、国際税務や資金調達といったより専門的なサポートを強化する必要が出てまいりました。つきましては、この分野に特化した別の専門家との連携を検討することとなりました。

理由:経営戦略上のコスト見直しを建前とした例文
例文:弊社の経営方針として、今後、管理部門全体のコスト構造を抜本的に見直すこととなりました。つきましては、誠に心苦しいのですが、新たなコスト体系での税務・会計対応が必要となり、顧問契約を終了させていただきたく存じます。

理由:やむを得ない人的事情を建前にした例文
例文:大変恐縮ですが、この度、長年の主要取引先の社長のご親族が税理士として独立されたため、顧問契約をお願いしたいと強く依頼を受けました。会社の今後の取引関係を考え、やむを得ず変更を決定いたしました。

顧問税理士の解除については「税理士変更の断り方は?断る際の伝え方や文章についても解説!」で詳しく解説しています。

3-2.解約通知は必ず「メール」か「書面」で証拠を残す

法律上での解約の意思表示は口頭でも構いませんが、後の「言った・言わない」といったトラブルを防ぐためにも、解約の意思は必ずメールや書面といった記録に残る方法で伝えましょう。

メールで伝える方法が最も手軽で証拠に残りやすい方法ですが、より正式に解約手続きを進める場合には「内容証明郵便」を利用するとトラブルの回避にも効果的です。

3-3.区切りが良いタイミングで切り出す

税理士変更は、いつ行っても法的には問題ありませんが、業務の混乱や不要な費用、そして円満な解約にするためにも、最適な「タイミング」を見極める必要があります。

最も円満に解約を行うタイミングは「決算または確定申告が終わった直後」です。

会計の区切りが一段落し、帳簿が整理された状態になっているため、税理士変更としてはベストなタイミングだと言えるでしょう。

解約のタイミングについては「顧問税理士の変更・見直しって必要?タイミングとポイント解説」をご覧ください。

万が一トラブルになりそうなら、新しい税理士を味方につける

顧問税理士に解約の意思表示を行った結果、トラブルに発展してしまい、資料の返却がされず、不当な違約金の請求をされてしまった場合には、新しく依頼を検討している税理士を味方につけ、専門家の支援を得ることも考えてみましょう。

4-1.今の税理士と直接話したくない場合

今の税理士と感情的な対立が生じている場合、交渉を続けることは精神的な負担が大きいだけではなく、トラブルをさらに深刻化させる可能性があります。

「自分だけで交渉することが困難」だと感じたら、新しい税理士に一度相談してみましょう。

新しい税理士が直接、前の税理士と直接交渉することは難しいですが、事業者を通じて法的な根拠に基づいた適切な引き継ぎの要求を促すことは可能です。

新しい税理士から引き継ぎに必要な書類のリストを作成してもらい、書面で前の税理士に送付するだけでも効果がありますので、まずは新しい税理士に相談してみることをおすすめします。

4-2.税理士法人オンデックなら「引き継ぎ」から徹底サポート

税理士変更は、違約金のリスクや重要資料の引き継ぎ、感情的な対立など、多くのトラブルやリスクを伴うため、1人で進めることに不安を感じる経営者様は少なくありません。

特に、新しい税理士への引き継ぎがスムーズに行えなければ、その後の税務申告や経営計画に深刻な影響を与えてしまうおそれがあります。

私たち税理士法人オンデックは、そうした顧問税理士解約に関するお客様の不安に寄り添い、引き継ぎからしっかりとサポートさせていただきます。

「顧問税理士を変更したいが、どう進めればいいか分からない」「違約金やトラブルが不安」といったお悩みをお持ちであれば、まずはお気軽にご相談ください。

まとめ

税理士変更は、会社の成長を支えるための重要な「経営判断」であり、決して後ろめたいことではありません。

現在の税理士との契約解除に際して違約金やトラブルといった不安はつきものですが、適切な知識と手順を踏むことで、これらのリスクは十分に回避可能です。

税理士法人オンデックでは、一緒に未来を創る経営パートナーとして、税理士変更についてのお悩みも受け付けております。

日々の会計処理から節税対策、資金調達や補助金サポートまで会社のお金にまつわる業務にスピーディーに対応いたしますので、税理士変更を検討されている場合はお気軽にご相談ください。

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